熊に遭遇して命拾いした人が咄嗟にとった行動

そんな光雄さんの話とは裏腹に、3時間ほど森の中を車で走ってみたがヒグマには遭遇しなかった。ヒグマから鹿に狙いを変えて歩き、山の斜面から50mほどの位置に大きな牝鹿が立っているのを見つけたので私がライフルで仕留めた。草むらに倒れているのは丸々と太った牝鹿だ。光雄さんと一緒にその場で血抜きの作業をしているときに、猟仲間に起きたというヒグマにまつわる話をしてくれた。

「銃声がしたらハンターが鹿を仕留めてその場には解体した残滓があることを熊はわかっている。だから、鹿を撃って解体中に熊が出るということもあるんだ。数年前、ハンター仲間のひとりが鹿の解体中にヒグマが近づいてきたことがあってね。ライフルを構える間もなかったけど、手にナイフを持っていたんだ。これはもう戦うしかないと思って大きな声で叫んで、ナイフで立ち向かったらヒグマがたじろいで逃げて行ったそうだよ。

その後、また熊が来ることを予想して手元にライフルを置いて解体を再開していたら、うしろからゴソゴソと音がして、また熊が現れたので今度は仕留めたんだ。山に入ったらいつでもどこでも熊が出るという感覚で猟をしていないといけないよ」

熊の出没が多発する秋の十勝平野
熊の出没が多発する秋の十勝平野

山梨県の山中で山荘を経営している友人は森でキノコを探していたときに木の上からツキノワグマの親子が落ちてきて、親熊は興奮して威嚇してきたという。武器になるナイフは背中のバックパックの中に入っていたので、バックパックを熊の顔面に叩きつけて大声で叫んだら熊は驚いて逃げたそうだ。

他にも熊に襲われて命拾いしたという人たちは咄嗟に同じような行動をしていた。