X子と不倫関係にあったY
2006年4月10日未明、東京都文京区の自宅居間で首から出血した状態で倒れていた安田種雄さんの死因は司法解剖の結果、失血死と判明、近くには血のついたナイフが転がっていた。しかし、体内から致死量に及ぶ覚醒剤が検出されたことから、警視庁は覚醒剤を乱用した末に精神錯乱を起こし、自らナイフで首を刺した「自殺」と判断。
このころ種雄さん夫婦は離婚寸前で、妻のX子さんは二人の子どもを連れてY氏という男性と暮らしていたが、事件前日に自宅に戻っていたという。長姉が振り返る。
「やっぱり、X子が隣の部屋にいて、異変に気づかずに寝ていたという話は、ちょっと信じがたいです。いろいろ“疑惑”はずっと残ってます。彼らの態度もそうです。母が大塚警察署でX子の親族が署員と談笑していたのを見てすごく驚いて、ショックを受けていました」
ブランド物やおしゃれが好きな若い普通の女の子に見えたX子さんとは事件後、一度も顔をあわせていない。種雄さんとの間の二人の子どもとも、以降は会ったことがないという。X子さんは遺体の引き取りも拒否し、葬儀にも姿を見せなかった。
X子さんが種雄さんの元を離れてから身を寄せていた不倫相手のY氏とは、もともとフリーマーケットで知り合い、種雄さんも親しくしていた時期があったという。
「Yという人の存在は父も母も知っていたし、私も何となくは知っていました。X子と不倫関係にあって離婚話が浮上したり、YのところにいるX子と子ども二人を連れ戻しに行くという話は、父母や妹も聞いていたはずです。
でも実は、離婚話はそれよりだいぶ以前にもあったんです。上の子が生まれて1歳にもなっていなかったころだと記憶していますが、同じような原因で離婚話が浮上したけど、子どもがまだ小さいこともあって、話し合いで元サヤに収まった形でしたね」
しかし、死因が何であれX子さんはなぜ、二人の子どもの父親でもある夫の葬儀に顔も見せなかったのか。X子さんも間違いなく「遺族」のはずだ。
「葬儀ぐらいなんで来ないんだろうという疑問はありました。両親は孫たちをすごくかわいがってたので、やっぱり会いたいじゃないですか。自分の孫たちに、自分の息子である父親を、きちんと見送ってあげてほしいっていう気持ちがある。疑惑というより、なんで子どもたちを連れて来ないんだろうっていう気持ちのほうが強かったと思います。子どもたちにとって種雄は父親ですから、その葬儀に来させないのはひどいですよね」