連れてきた石たちの中に、本物のヒスイはあったのか?

ヒスイ海岸をあとにした後も、車中泊の旅を続けた。

そして数日後、山梨県・山中湖村にある我が山の家に帰り着いた僕は、ヒスイ海岸から連れてきた石たちを、改めてじっくり観察することにした。
ネット情報、それに初日のヒスイ拾い後に立ち寄った糸魚川市の自然博物館、フォッサマグナミュージアムで得た知識に従い、色や肌触り、形状、それに表面のキラキラとした結晶の有無などから、石を2つのグループに選り分けた。

鉱物付きにはたまらないフォッサマグナミュージアム
鉱物付きにはたまらないフォッサマグナミュージアム

片方は残念ながら、明らかにヒスイではない石。もう片方は、もしかしたらヒスイかもしれない石である。

素人が石の鑑別に使えるひとつの有効手段は、ライトの光を当てることだという。
すべてではないが多くのヒスイは、光を透過させるからだ。

僕が拾ってきた石の中にも、明らかに光を透過させ、表面あるいは内側に、ヒスイっぽい淡い緑を確認できるものが、いくつか含まれていた。
もちろん光を透過させる石はヒスイだけではなく、水晶を含む石英類などいろいろあるので、これだけでヒスイと断定できるものではない。
でも石にひとつひとつライトを当ててみて、光が透けて見えた瞬間には「おお!」と気分が上がった。

光を透過させ、淡い緑に輝く石が次々と
光を透過させ、淡い緑に輝く石が次々と

数えてみると、初日の宮崎・堺海岸で拾った石は、23個中なんと12個が、多かれ少なかれ光を透過させた。そのうちいくつかの石は、表面に結晶状態のキラキラも見える。
つまり、ヒスイの可能性がかなり高いということだ。

光を通し、エメラルドのような濃いグリーンに輝く石もあった
光を通し、エメラルドのような濃いグリーンに輝く石もあった

同様に光を透過させる特徴は、新潟・親不知海岸で拾った石30個中8個、ヒスイ海岸で拾った石21個中2個にも見られた。

光を通し、ヒスイっぽい特徴を示した石たち
光を通し、ヒスイっぽい特徴を示した石たち

初日にまず訪れた、富山の宮崎・境海岸のヒット率が際立って高い。
場が荒れると困るから小さな声でしか言いませんが、鉱物に興味のある皆さん、ヒスイを拾うなら、富山の宮崎・堺海岸が熱いようですよー。

いずれにしても素人判断にすぎず、本物かどうかはいまだにはっきりしないが、とりあえず初心者の僕でも、準備さえしていけばしっかりヒスイである確率が高い石を拾うことができるとわかった。

いつかは鉱物のプロにちゃんと見てもらおうと思いつつ、拾ってきた可愛い石たちは、2023年の北陸車中泊旅の思い出として、ボトルに入れて大切に保管することにした。

大事な旅の思い出
大事な旅の思い出
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写真・文/佐藤誠二朗