ヒスイを拾うための、大事な2つのコツ
急速取得したドロナワ的知識によると、だだっ広い海岸に、文字通り無数に散らばる小石軍団の中から、本物のヒスイちゃんを見つけ出すコツのうち、特に大事なのは2つ。
① 波打ち際ギリギリを歩き、波にさらされたばかりの石を注視すること
② 際立って白く、角張った石を探しだすこと
「波打ち際ギリギリを探すべし」の理由はすぐにわかった。
現場には僕のほかにもヒスイハンターが何人も来ていて、それぞれが足元に目を落としながらゆっくり歩き、ヒスイ探索をしている。
皆それぞれが真剣に目を凝らしているのだから、彼らが行った後にヒスイは残っていないと思うだろう。
でも波打ち際では、日本海から打ち寄せる強い波の力で、地面の石が常に動き続けている。
ひと波くるごとに「ザザザー」「カラカラカラー」「ジャワジャワジャワー」と、石同士がぶつかりながら転がる心地良い音が響く。
そして、ひと波去った後の地面の石の並びは、ついさっき前までとはガラリと変化しているのだ。
だから、波打ち際ギリギリを歩いていれば、新たに現れたばかりのヒスイと出逢える確率が上がるというわけだ。
そして、ヒスイというと淡い緑色の石を思い浮かべるものだが、天然のヒスイ原石は真っ白に見えることが多いそうだ。
またヒスイは、他の石と比べて硬度が高いため、海岸に多い角の取れたスベスベの丸い形ではなく、カクカクした印象の石が多いという。
それらの、にわか知識を頭の中で反芻しながら、僕は一人、宮崎・境海岸の波打ち際を何往復もした。
“ヒスイ棒”はなかなか優秀だった。
波打ち際を歩き、波の間に見え隠れしている石を拾い上げていくのだが、手で直接拾っていたら、たちまち服がびしょ濡れになっていただろう。
それに、これはと思う石をいちいちしゃがんで拾い上げていたとすると、腰や膝が音を上げるのも時間の問題だったと思う。
“ヒスイ棒”さえあれば、水の中だろうとどこだろうと、立ち姿勢のままヒョイと石を拾い上げられる。
長時間にわたってハンティング活動をしても、濡れることも体が痛くなることもなかった。