勇気( 言う気)を持つ
子供のころ、こんな苦い経験をした記憶はありませんか?
私は小学校から中学校のころまで片思いをしていた女の子に、告白をしてフラれたことがあります。そのときなんと伝えたのかは、まったく覚えていません。片思いの期間が長すぎたため、言いたいことが膨らみすぎて、意を決して電話で告白をした際には支離滅裂なことしか言えなかったことだけは覚えています。
でも、後悔などあろうはずがありません。なぜなら、「言えなかった〝思い〟は残る」のです。その思いは行き場を失い、心のうちをさまよって、消えることはありません。
だから、言葉にしようとした自分を褒めてあげるべきなのです。
あらゆる物事を伝えるためにいちばん大切なのは、「伝える勇気を持つ」ことです。
これを読んでいるあなたは、おそらく人間関係の悩みやコミュニケーション上の問題を解決するために、静かに向上心を燃やしている方だと思います。
「もっとうまく相手に伝えられたら」
「もっと上手に提案ができれば、価値を示せるのに」
多くの人は、心のなかでそう思っていてもなかなか行動できません。
人間の行動に対する学術調査で、「100人中、25人が行動し、5人が継続し、70人は思っても何も行動しない」というデータがあります。とするなら、この本を買ってアクションを起こしたあなたは、すでに25%のなかに入っているということです。
つまり、言う気は、勇気です。
勇気の出し方のコツをひとつお伝えします。
「もうこの人とは二度と話せないかもしれない」と思うことです。
大げさに聞こえるかもしれませんが、学生時代と違って、社会人になると多くの人と「気づいたときには、もう会うことがない」状態に陥ります。
もちろん、デジタルツールの発達で、誰かと連絡を取ることはとてもスムーズになりました。ですが、ある知人はスマホをなくしたことで、数百人レベルの人と「二度と連絡が取れない」状況に陥りました。
アメリカで起きた9・11同時多発テロで息子を亡くした母親の、『最後だとわかっていたなら』という詩は、まさに「伝えるべきことを伝えられるうちに伝えないと、二度と会えない運命が待っていることがある」と教えてくれます。
いま、何かを伝えたい相手がいるなら、勇気を出して伝えましょう。