完全に「周回遅れ」な日本の無人機開発

飛行するAI無人戦闘機、MQ-28 ゴーストバット(写真/豪国防省)
飛行するAI無人戦闘機、MQ-28 ゴーストバット(写真/豪国防省)

一方、わが日本はCCAの前段階となる無人機ドローンの開発でさえ、難航する始末だ。たとえば、2000年代には富士重工(現SUBARU)が偵察任務と火砲の着弾観測用として開発した「遠隔操縦観測システム」(FFOS&FFRS)を備えた無人機が部隊配備された。

ただ、これはひと言で言うと、大型ラジコンヘリのようなもので、その名が示すとおり30名以上の要員と6台もの管制車両が必要など、部隊展開の迅速性に欠けるという課題を抱えていた。

最先端まで到達しかけたせっかくの技術が水泡に帰してしまったこともある。2001年から10年間、偵察用として防衛装備庁(当時)と富士重工が開発してきた「多用途小型無人機」(TACOM)である。

「TACOM」は4号機まで製造され、その性能を徐々に高めていたものの、2010年7月に硫黄島での実験中にF-15から切り離された機体が海上で行方不明になるなどのトラブルに見舞われ、翌2011年に開発中止となってしまった。

技術開発に失敗はつきものだ。一度の失敗にあきらめることなく、官民あげて無人機技術を引き続き磨いていれば、米国やトルコ、イスラエルなどに頼らなくても「日の丸無人機」の開発に成功していたかもしれない

現状ではわが国にはようやく米国製無人機の輸入が開始された段階で、小型の偵察用「スキャンイーグル2」(2019年)、警戒・監視にあたる中型の「MQ-9Bシーガーディアン」(2023年)、大型の「RQ-4Bグローバルホーク」(2023年)の部隊配備がスタートしたばかりだ。

ドローン技術の革新で世界の戦場風景が変わりつつある昨今、これらの無人機から得られる「情報」をどのように利活用するのか、その運用方法を含めてアメリカから学んでいる最中だと言ってもよい。

前出の軍事アナリストがこうため息をつく。

「わが国では第1段階の無人機(ドローン)の導入が始まったばかり。ましてや、AIを搭載したCCAとなると、まだまだ構想の段階にすぎない。世界の最先端レベルと比べると、その技術開発は一周も二周も遅れていると言わざるをえません」(前同)