近い将来、「無人機空母」も登場か
無人機だけではない。近い将来、「無人機空母」も登場しそうだ。洋上で揺れる空母に短い距離で発着艦するのは一番の難関だ。先ごろ、インドやトルコが無人機を空母や揚陸艦で運用する計画を公表したが、無人機開発で世界の最先端を行くアメリカが遅れを取るはずがない。
11月17日には米東海岸での実験で、イギリス海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」から軍用無人機「モハベ」を見事に発着艦させ、いち早く実用化への目途をつけたのだ。
「モハベ」は米国ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)が開発した短距離離着陸(STOL)機能を持ち、F-35Bよりも大型で武器搭載量も多い。アメリカに続き、イギリスでも空母に搭載する予定のF-35B飛行隊の一部を無人機で代用する動きが出ているというニュースもある。
前出のMQ-28ゴーストバットも一部報道によれば、英海軍空母向けにアピールしているという。同機はボーイングがオーストラリアと共同で開発した機体で、従来の無人機と異なって有人戦闘機と連携した作戦を行う性能を持つ。
今年3月にオーストラリアで実際に同機を取材したある軍事アナリストが言う。
「ゴーストバットは単なる無人航空機ではありません。AIを搭載し、機体先端部分を任務に応じて機器を交換できるモジュラーミッション・パッケージシステムを採用しており、偵察にも攻撃にも使えるCCAです。他の先進国の空軍がめざす無人機と有人機が連携して戦う次世代の航空戦に沿った兵器と言えるでしょうでしょう。
AUKUS(インド太平洋の安定をめざす米英豪の安全保障の枠組み)の一員であるオーストラリアは三カ国の緊密な連携や有事の統合作戦能力強化に務め、原子力潜水艦の配備計画、さらには極超音速兵器やサイバー分野での技術協力などを進めています。当然、米英が進める次世代航空戦での無人機の活用も必須となるわけで、オーストラリアが国産機としてのゴーストバットの開発に力を入れる理由もよくわかります」