5類移行で医療ひっ迫の可能性を煽った厚労省・医療関係者・マスコミ
5類に移行してしばらくの間は、「新型コロナを季節性インフルエンザと同じ扱いにしたために、医療が逼迫する可能性がある」と厚生労働省や医療関係者、マスコミが騒ぎ立てたが、実際には医療崩壊などほとんど起きていない。
ただ、東京では、救急車を呼んだり、かかりつけ医が、入院が必要と判断したりしても、受け入れ先がなかなか見つからない「入院難民」は、これからも出続けるだろう。
それは、東京都内には、大学病院やがんなどの専門病院、高度医療をする大病院はたくさんあるが、高齢者の持病が悪化して体調を崩し「入院が必要」などと判断されたときに、入院できるような中小病院が少ないからだ。
大学病院などの大病院は、介護が必要で、入院が長期化しそうな高齢者や、肺炎、胃腸炎など軽い病気の患者はなかなか受け入れない。
例えば、東京都港区には、大学病院や大病院など計13病院があるが、脱水や胃腸炎など軽い病気で入院できる200床以下の中規模一般病院は古川橋病院(49床)くらいだ。
人口10万人当たりに換算すると18.7床で、人口急減によって消滅の危機もあるといわれる地方都市よりも少ない。この状況は、東京都内の他の区でも似たような状態で、大阪市などの大都市でも入院難民が多数発生している。
なぜ、このような事態が起きるかというと、入院料などの診療報酬はほぼ全国一律同じ値段なので、地価や人件費の高い大都市での病院経営は苦しいうえに、政治力がないせいか中小病院の診療報酬は低く設定されているからだ。
診療報酬は、厚生労働省の医系技官が仕切る中央社会保険医療協議会(中医協)で決めている。
医系技官は、医師資格を持つ官僚のことだ。
都市部の入院難民を減らすには、過剰になった大学病院などの病床数が減るように診療報酬を下げ、その分、中小病院に振り分ける必要があるが、医系技官などの天下り先にもなる大学病院や大病院を彼らが冷遇することはない。
そもそも都市部の中小病院がこれほど減ってしまったのは、「中小病院は社会的入院が多い」としてその診療報酬を抑えてきたからだ。
確かに社会的入院は減らすべきだが、本当に入院が必要な人を受け入れる病院が都市部になくなってしまった弊害は大きい。
これまでたびたび起こっている都市部の医療崩壊は、厚生労働省、特に隔離政策等を中心になって進めた医系技官たちの責任ではないか。
文/上 昌広 写真/Shutterstock
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