感染症ムラに補助金が投入され続ける
日本国民にとって不幸だったのは、感染症分科会が、必ずしも科学者として世界標準に則った意見を述べるのではなく、結果的には厚生労働省の対策を追認してしまったことだ。
彼らは、世界的にPCR検査数を増やすことが新型コロナの感染を抑える重要な方策だということが分かった後も、PCR検査数を増やそうとする首相の意向に結果的には応えなかった。
政府は2020年7月、「骨太の方針」の中に、PCR検査について「医療従事者や入院患者、施設入所者等に対して、感染の可能性がある場合には積極的に検査を行う」と盛り込んだ。
ところが、感染症分科会は、濃厚接触者と認定されなかった無症状者に対する検査を公費で実施しない方針を取りまとめ、実質的にPCR検査数を抑制した。
検査をするかしないかは、本来は、医師と患者が決めるべきものだ。それなのに厚生労働省は、無症状者には検査は不要と医療・介護従事者へのPCR検査の法定化を見送った。
そして、2022年12月末になっても、「2類相当」を維持して、感染症ムラに補助金が投入され続けることに結果的に加担した。
潮目が変わりそうだったのが、2020年6月だ。
前面に出て「3密回避」「人との接触8割減」「新しい生活様式」を打ち出す一方で、PCR検査を抑制する専門家会議に問題があるとみた政府は、突然、「位置づけが不安定だった」との理由で同会議の解散を決めた。
6月24日、その当時の新型コロナウイルス感染症対策担当大臣の西村氏は、専門家会議を解散し、感染症分科会を設置すると発表した。
その際、専門家の入れ替えを模索するとも聞いたが、結局、西村担当相が別の専門家チームを揃えられなかったこともあり、法的根拠を与えられ設置された感染症分科会は専門家会議と顔ぶれはあまり変わらなかった。