「ダメ」よりも「~ してね」で具体的な行動を示す

自閉スペクトラムの特性がある子の場合、大人が「ダメ」と声をかけるだけでは、適切な行動が伝わりにくいことがあります。

自閉スペクトラムの子は「含み」を理解するのが苦手です。「ダメ」と言われただけでは「何がダメなのか」「なぜダメなのか」がよく理解できず、混乱してしまうことがあります。

それよりも「〜してね」と具体的な行動を示したほうが、本人に伝わりやすいことが多いです。
 
特性のある子がいたずらを始めようとしていて、説明する時間がないときには、ほかの場所に連れていってしまうのもひとつの方法です。

ひょっとするとマンガの2人目の先生は、お子さんのそのような特徴を意識して、手をつないで連れていく対応を選んだのかもしれません。

発達障害の子どもを注意するときに「ダメ」はNG! 「含み」を理解するのが苦手な子には具体的に理解させるために必要な「言い方」とは〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉_4
漫画を読む

子どもを理解するヒントは「よく見る」ことから

私も日頃から「子どもをよく見ること」を大事にしています。子どもの様子をよく観察していれば、その子への理解が深まり、その子に合った対応を考えやすくなるからです。

マンガの2人目の先生は、おそらくこのお子さんのことを日頃からよく観察していたのだと思います。だから「声をかけずに連れていこう」と判断できたのでしょう。

この本では「子どもをよく見ること」の重要性をお伝えしていきます。そのために、子どもの様子を文章だけで説明するのではなく、マンガをまじえてお伝えします。マンガのふとした一場面に、子どもを理解するヒントがちりばめられています。

「こんな場面に注目すると、子どもの気持ちが見えてくるかも」という例を、これからいくつもご紹介していきます。どうぞご覧ください。

文/本田秀夫 マンガ/フクチマミ

#2『いつも同じ道を通りたがる子どもには理由がある! 「いろいろな体験をしてほしい」親心が発達障害の子どもにはストレスになることも…〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉』はこちらから

#3『「冬でも半袖半ズボンで平気」発達障害の子どもに見られる「感覚過敏」や「感覚鈍麻」。特定の感覚に敏感・鈍感すぎることへの対応策は?〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉』はこちらから

『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)
本田秀夫 (著)、フクチマミ (マンガ)
発達障害の子どもを注意するときに「ダメ」はNG! 「含み」を理解するのが苦手な子には具体的に理解させるために必要な「言い方」とは〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉_5
2023/9/28
¥1,540
160ページ
ISBN:978-4815619459
「なんで!?」がわかれば子育てがラクになる!
・こだわりが強い
・融通がきかない
・友達づくりが苦手
……
うちの子の不思議な言動がこれ1冊で丸わかり!

臨床経験30年以上の医師が指南!
●20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介

・臨機応変な対人関係が苦手
・自分の関心、ペースが最優先
そんな自閉スペクトラム症の子の「あるある」をマンガ紹介→「どうして?」と思ったら解説を読んで解決!

【構成案】
■プロローグ:「自閉スペクトラム症」の子どものフシギ

・発達障害の中でもASD(自閉スペクトラム症)中心に事例を紹介
・こだわりが強い、臨機応変な対応が苦手、友達づくりが苦手
・ASDのコミュニケーションは理解されづらく、
「普通だったらわかるでしょ」がわからない

■20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介
※幼児期から小学生まで
Case1 何にでも手を出して、勝手に遊んでしまう
Case2 特定の子と一緒になると、いつもケンカになる
Case3 自分からは話しかけるのに、人の話は聞かない
Case4 いたずらして注意されると、むしろ調子に乗る
Case5 学校での生活に、いつまでたっても慣れない
Case6 園に行くとき、いつも同じ道を通りたがる
Case7 外出先の病院などで、ちゃんと挨拶しない
Case8 タンスに登って飛び降りるので、危ない
Case9 着替えや食事などの生活ルーチンが身につかない
Case10 ささいなことで、かんしゃくを起こす
Case11 偏食があって、なかなか変わらない
Case12 真冬でも、半袖・半ズボンを着ている
Case13 学校で教室移動中に、廊下を走り出す
Case14 褒められたのに、先生の腕をかんでしまった
Case15 大人に注意されると、腰砕けな答えを返す
Case16 文章の細かいところを気にしすぎる
Case17 質問されると、すぐに「わからない」と言う
Case18 話し方が変わっていて、同級生と打ち解けない
Case19 自分の意見を言わず、まわりに合わせてしまう
Case20 元気に学校に行っていたのに「突然不登校」に

■エピローグ 
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