「卒業式はどうボイコットするかばかり考えてる」
――生徒の卒業後の進路は?
7割ぐらいが進学かな。だけど、別に「大学に行くのが一番いいから進学しなさい」とか、そういう価値観での進路指導はしてません。
勉強したいことがあるなら進学すればいいし、ないんだったら金かかるから働けって私は言ってます。
で、働いてるなかで「この勉強がしたい」「こういう仕事に就きたい」ってなったらそのときに学校に通い直せばいいって。
――そこまで親身になると、卒業式が辛そうですね。
実は私、去年まで2年間休職して、沖縄に学生しに行ってたんです。で、今年度から余市に戻ってきたんですけど、休職のひとつの理由が卒業式がしんどすぎるから。
3年間かけてクラスでつくったものが急に“取り上げられる”みたいな。
――そうなんですね……。
3年間という制限があるなかで、いいところはどこでどう伸ばしてとか、どこが課題でどう直すかってことまで一生懸命、考えて、関わって。
まぁそんなんで卒業式がしんどいとか言ってたら、根本的に教師に向いてないんでしょうけど(笑)。
――だから卒業式はあまりうれしくない?
「あまり」というか「まったく」ですね。
自分の学年じゃなかったら別にいいですよ。「あ、この子もこうやって変わって卒業していくんやな」って普通に感動できるんですが、自分の学年のときはただただ辛いから「どうやってボイコットするか」ってことばかり考えます(笑)。
――だから休職して沖縄に。
そういう別れと、どう向き合えばいいのだろうと思ってたんですけど、2年間で全然向き合えないまま戻ってきちゃいましたね。
今後、私自身どうなるかわからないですけど、ただ、それでもやっぱりまだ私が、北星の子たちに対してできることがあるって、傲慢かもしれないけど自覚もあるんですよ。
――最初は「おもそろうだから」で北星余市に来たということでしたが、長年ここの教壇に立って、本当にこの高校が好きになったんですね。
まぁ、そうですね。日本中の学校がこうなればいいのにって思います。これ、割とマジメに。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班