総理にきわどい質問をすると排除される
だが、このように優遇されている常勤幹事社の質問といえば、国民感覚と乖離した当たり障りのないものばかり。そのような社が指名の過半数を占めれば、首相会見が形骸化するのは必然だ。
もちろん筆者のようなフリーランス記者が指名されることも稀にはある。現に筆者は昨年10月に1度だけ指名を受けて岸田総理への質問を許された。その際は、“総理のお考え”をただひたすら拝聴する常勤幹事社とは違い、直近の国会質疑でインボイスの導入根拠が既に論理破綻している事実を示した上で、改めて導入根拠の説明を求めた。
これに対して岸田文雄総理はまともな導入根拠を一言も説明できないどころか、インボイスの基本的理解すら怪しいことを露呈する結果となった。
*約3分の質疑映像は上記YouTubeで視聴可能。外部サイト等で動画を再生 できない場合、筆者のYouTubeチャンネル「犬飼淳 / Jun Inukai」で視聴可能。動画タイトルは「岸田総理大臣 記者会見 2022年10月28日」
そして、これが筆者の総理大臣会見における(現時点で)最初で最後の指名となった。この質問から今日までの約1年間、筆者が抽選に当選して参加を許された会見は5回あり、その全ての回で真っ先に挙手し続けたが1度も指名されなかった。
先ほど最も指名が少ない常勤幹事社として紹介した東京新聞(2年間で指名4回)でさえ年換算で2回は指名され、さらに自らが幹事社の回は会見冒頭に代表質問の機会も得ている。この定量的事実を踏まえれば、筆者は同会見において実質的な“指名NG”状態にあると言える。