飲みを嫌いになってほしくない

――そうした飲みの場での先輩の心に残る言葉とかはありますか。

めちゃくちゃありますね。例えば、役者っていうクリエイティブな仕事をやっていると、どんどん役者のエゴ「こうした方が自分的に気持ちいい」「こうした方が良さそうに聞こえる」とか、そういう欲の湧く時期が来がちなんです。

そんな折 に、自分のやりたいことがなかなかできないと先輩に相談したら「いや、君は声のプロなんだろう。声の素材屋さんなんだろう。だったらまず、言われたことにちゃんと応えなさい」と言ってくださって。
やっぱり作品というのは、監督や音響監督の描く道標があって、これが欲しいって言われていることをまずちゃんとやれなくてはならない。本当に基礎中の基礎です。当たり前ですけど、ちょっとしたタイミングで道を踏み外してしまいそうなときに、よくお酒の席で引き戻してもらいました。

アフレコ終わりの飲み会は、コロナでちょっと終わってしまった文化ではありますけど、私はすごく好きで勉強になっていました。

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――そういうことって大事ですよね。高橋さんは今、その飲み会文化を復活させたいと思っているんですか。

いや……無理をさせたくないという思いは強いですよ。飲みの時間が負担になるのもわかるから。急に誘うと予定を入れていたりするとも思うので、ちゃんと日数に余裕を持って相談します。突発的な「今夜どう?」は、もっと限定的なメンバーにしてますね。

それに今は、私が誘うと「高橋さんに呼ばれたから絶対行かなきゃ」みたいな感じになっちゃう自覚を持とうとも思っています。なので飲みをするにもご飯をするにも、無理のない時期や帰りやすい場所を、相手とちゃんと確認しあいたい。

飲みを嫌いになって欲しくないんですよね。嫌なものって思われたくないんです。好きだから。

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取材・文/徳重龍徳  撮影/村上庄吾