「今、誰と一番話をしたいですか?」の答えは意外な人物
また、著書『野球観~勝負をわける頭脳と感性~』(日本文芸社)を制作する際、誌面に井端さんと誰かの「対談」を収録したいと考え、本人に「今、誰と一番話をしたいですか?」と投げかけてみた。こちらとしては、中日時代のチームメイトやライバルなどのプロ野球関係者を想定していたのだが、井端さんから帰ってきた答えは「帝京高校の元監督の前田三夫さん」という意外なものだった。
理由を聞くと「あれだけ長きにわたって高校野球という特殊な競技の指導者を続け、しかも結果を出してきた方。ぜひ、話を聞いてみたい」とのことだった。NPBの枠を超え、他カテゴリの野球からもどん欲に何かを学ぼうとする姿勢には、感嘆するしかなかった。
ちなみに、実現した対談は予定していた時間を大幅に超過するほど、大盛り上がり。お二人の「野球観」が交錯する素晴らしいものとなった。
就任記者会見で井端新監督は「自分の持っているすべてを注ぎ、全力で努めていくことが日本野球への恩返しになる」と決意を語った。
現役時代から継続する価値観に、引退後は、精力的に知見を広め、さらに厚みを増した「野球観」。トップチームだけでなく、U-15の監督を兼任するというのも、実に“井端弘和新監督らしい”と感じる。
もちろん、その重圧は想像を絶するものだろう。それでも、侍ジャパンの新指揮官として、その“野球観”を存分に選手たちに落とし込んでほしい。
井端弘和監督が率いる新生・侍ジャパンを応援したいと思う。
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取材・文/花田雪