×眼トレは、いろんな種類をやればやるほどいい
〇効果が認められているのはガボール・アイだけ 

「ピンホールメガネ」「マジカル・アイ」「外眼筋トレーニング」……効果のほどは?

細かい穴が開いた「ピンホールメガネ」や、特殊な絵や写真を見る「マジカル・アイ」、眼球を動かす筋肉にアプローチする「外眼筋トレーニング」など、視力回復に効果的とうたわれている手法は、いくつかあります。

それらの効果が気になっている人もいるかもしれませんが、「ガボール・アイ」を除いて、直接的に明確な効果が認められている手法はありません。

ピンホールメガネは、ごく簡単にいうと、遠くを見るときも近くを見るときも自分でピント調整しなくていいようになっているメガネです。かけている間は眼球を休めることができるので、ピント調整機能不全で近視が強くなっているケースや、毛様体筋の緊張による仮性近視には瞬間的に効果が表れます。

3Dでモノを見る訓練にも毛様体筋を休める効果があるとされています。それが視力回復につながるという建前ですが、厳密にいえば、リラックス効果があるかもしれない程度の話にすぎません。視力回復の効果があるとまでは言いにくいでしょう。

また、外眼筋は目を動かすための筋肉ですが、この筋肉をいくら鍛えても眼軸の長さは変わりません。それどころか、目の前で蚊が飛んでいるように何かがチラつく「飛蚊症(ひぶんしょう)」の人は、眼球に穴が開いている可能性があるため、眼球を動かす眼トレを行うと網膜剝離になるリスクがあります。飛蚊症でなければ、外眼筋トレーニングは有害ではありません。

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ただ、もし何らかの効果が期待できるとしても、それは、あくまでも「目を動かす機能」の向上であって、眼軸の長さが「網膜上でピントが合う、ちょうどいい長さ」に変化するわけではないのです。

そもそも視力は移ろいやすいものなので、臨床実験の行い方次第で、いくらでも「視力回復効果があるように見える実例」を集めることは可能です。

まったくのうそっぱちとは言いません。実践し続けることで、3Dのリラックス効果や外眼筋トレーニングが、まわりまわって「ものの見えやすさ」につながることは考えられます。

しかし、そうした「風が吹けば桶屋(おけや)が儲かる」のような間接的で不確かな効果ではなく、直接的な因果関係で視力回復の効果が実証されているものというと、現時点では、脳の視覚野に作用することがわかっているガボール・アイしかないのです。