ベテランの無期契約社員も契約打ち切り

この男性によると、ヤマトに小型荷物の配達を委託されている個人事業主およそ3万人のほか、全国の70ヶ所のベース店で働くDM便を仕分けする契約社員も来年1月末で契約を打ち切られるそうで、その人数は5000~6000人はいるのではないかと話す。

「6月のプレスリリース(協業発表)のあとに行なわれた説明会では、あまりに突然の出来事だったのか、契約社員の方たちもまさに寝耳に水といった感じで、質問もないまま口をポカーンと開けて、15分ほどで終わってしまいました」(同)

8月になって、基本給の3ヶ月分に当たる慰労金が支払われることや、残った有給を買い取ること、そして10月以降に転職支援サイトを開設することなどが明記された資料が配布されたという。しかし、前出の社員は納得がいかないと話す。

「ベース店でのDM便の仕分け業務は3交代制で、時給でいうと1300円と高いこともあり、これ一本で長年働いている人も少なくありません。なかには中学生の子どもを持つシングルマザーの方や、50~60代の方もいて『転職支援サイトを使ったところで、本当に希望する仕事に就けるのか?』と来年以降の仕事に不安を感じています。

協業発表直後の6月の説明会で配布された事実上のリストラ通知書
協業発表直後の6月の説明会で配布された事実上のリストラ通知書

DM便以外の『宅急便』や『クール便』の仕分けの部署に配置転換をお願いした人もいましたが、却下されたそうです。説明会後に同僚社員も『なにもしてあげられない……』と裏で泣いていました。ヤマトは人を大切にする会社じゃなかったのか。残念でなりません」

さらに、ヤマト運輸には5年ほど契約社員として働くと、契約制限の定めがない「無期雇用」と呼ばれる契約を結ぶことができる。実際、DM便の仕分けスタッフのなかには、ヤマトで20年以上はたらくベテランの無期雇用契約社員がいた。しかし、そういった人材にも容赦なく、今回の“クビ切り”が襲い掛かった。

「その後の説明会では、『無期雇用契約なのに、1月末までの契約変更に同意しろなんておかしいじゃないか』といった怒りの声が続出しました。しかし、ベース長やマネージャーにも細かい指示が飛んできてないようで、『これ以上は自分たちにもわかりません』という感じで……。契約社員の方たちが本社にメールで抗議もしたところ『ご協力ください』『ご理解ください』としか返ってこなかったそうです」(同)