「自分の体が健康なのが一番大事だと気づいた」
そして、その利益優先経営の被害者となった女性たちが、術後の治療や修正に別のクリニックを訪れるケースが後を絶たない。安田院長が経営する東京美容外科赤坂院でも新規豊胸手術と、他院での術後の治療の相談は半々程度になるという。
リスクが高いといえるアクアフィリング豊胸だが、その施術を勧めるクリニックは確かに存在する。また、アクアフィリングの製造元が2019年に名称を変更したことに伴い、アクアフィリングを「ロスデライン」という別名称で扱うクリニックもあるという。
この豊胸手術で心にも体にも傷を負った先述のAさんはこう話す。
「私は決して巨乳になりたかったわけではありません。水着やお洋服を着たときに、少し自信がつくようなデコルテ(胸もと)部分の膨らみがほしかっただけでした。
でも、結局は自分の、そのままの体が健康であることが一番大事なんだと思いました」
昨今は豊胸ブームで、安田院長のもとにはSNS映えを求め、親同伴で来院する18歳の女子から80歳の女性まで訪れるという。安田院長は言う。
「どの年代の方も、豊胸手術ならやはりあとからすべて取り出せるシリコンバッグ挿入をお勧めします。昨今は柔らかい素材のシリコンも登場していますし、膨大な手術件数と技術向上により患者さまの満足度もどんどん上がっています。
体型的にデコルテ部分にバッグの縁が浮き出やすい方にはシリコンバッグ挿入と脂肪注入を併用する『ハイブリッド豊胸』を勧める場合もございます。
いずれにしてもリスクのあるアクアフィリング豊胸手術を選ぶのは避けていただきたいです」
ひとつしかない体。くれぐれも美容整形は慎重に。
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取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班