会社再編のための2度の「大量閉店」

──デニーズは2008年のリーマン・ショック後、そして2020年のコロナ禍と、2度の「大量閉店」を余儀なくされました。こうした苦境をどう乗り越え、価値を再定義して浮上してこられたのでしょうか?

2017年から社長に就任した小松氏
2017年から社長に就任した小松氏

デニーズは2000年代の中盤あたりから、売上が右肩下がりになっていて、2006年、2007年は大赤字の状況でした。そうしたなか、2007年9月にグループにあった外食の3社が合併し、セブン&アイ・フードシステムズを設立しました。合併後、3年かけてデニーズを含む不採算店舗の退店を実施しました。

そしてその後は、徹底的に「お客様への提供価値」を重視した施策で、次第に売上も息を吹き返すようになっていきました。

一方、コロナ禍ではリーマンショック後ほどの規模ではないものの、2年間で約50店舗の撤退に踏み切りました。人件費や固定費といったコストの圧縮という構造上の課題解決を図るのはもとより、コロナ禍でライフスタイルがより多様化し、ファミリーレストランに求める価値も変わるなかで、いかに売上に寄与できるかを追求し、メニューにもメスを入れていったのです。

そのほか、店内にテレワークスペースやコンセントなどを用意し、リモートワークにも対応できるような空間づくりも心がけてきました。