胃がんはピロリ菌の検査と定期的な胃がんの検診で予防する

ここで紹介した5つのサインで胃がんを捉えることは重要ですが、できればサインが出る前に見つけたり、胃がんにならないように予防したりすることが大切です。

まず、胃がんの原因で最も多いピロリ菌の検査をしましょう。
ピロリ菌は胃酸をもろともせず、胃に住みつき、胃がんのリスクを上げるたんぱく質を胃の壁から注入します。

最近の若い世代の間では、ピロリ菌の感染は減ってきたのですが、昔は衛生環境が悪く、ピロリ菌に感染している人が多い傾向にあったため、特に中高年の人は注意が必要です。
ピロリ菌の検査は国の対策型検査には含まれていませんが、除菌することで胃がんの発生リスクを下げることができるというエビデンスが出ています。
人生で一度は、ピロリ菌検査を受けて、ピロリ菌が胃に住みついているならすぐに除菌するようにしましょう。

また症状が出る前に早期発見するためには、胃のバリウム検診は1~3年に1回、胃カメラの検査は2~3年に1回は受けるようにしましょう。
50歳を超えたら、定期的に胃がん検診を受けることをおすすめします。

ふだんの食生活においては、塩分の摂りすぎに注意しましょう。
塩分が多い食習慣が胃がんのリスクを上げるというデータがあります。
高血圧の人にとっても塩分の摂りすぎはよくないので、対策することで胃がんの予防にもなります。

このように、ピロリ菌の検査、塩分の摂りすぎに注意して胃がんを予防する対策と、胃がん検診による早期発見する対策の2つをしながら、紹介した5つのサインを覚えておき、心配な症状が出たらすぐに医療機関を受診しましょう。

体に現れる胃がんの5つのサイン‥すぐお腹いっぱいになる、みぞおちが痛い、黒いウンチが続く…皮膚と肩に現れる意外なサインとは?_4
すべての画像を見る

取材・文/百田なつき

『怖いけど面白い予防医学 人生100年、「死ぬまで健康」を目指すには?』(世界文化社)
著者 森 勇磨
体に現れる胃がんの5つのサイン‥すぐお腹いっぱいになる、みぞおちが痛い、黒いウンチが続く…皮膚と肩に現れる意外なサインとは?_5
2023年3月19日
1,870円(税込)
単行本:262ページ
ISBN:4418234004
本書は今最も熱いテーマ、「80歳まで健康寿命を延ばす」ことを目指す方のための本です。
糖尿病やがん、心筋梗塞など、年を重ねるにつれ罹患する慢性疾患を回避するために必要な知見「予防医学」を超人気YouTube「予防医学Ch」運営する現役医師が解説します。病気になった後の世界や、人が病気になる仕組み。大病を避ける方法についてイラスト入りでサクッと理解できます。医学教養書ファンにも訴求する一冊です。健康診断で気になる項目の詳しい解説、病名別インデックス付き。 
第1章 病気になった後 五臓六腑を失った後の世界
第2章 病気になる仕組み 人間の体の中で起きていること
第3章 大病を避ける方法
付録 健康診断チェックシート
amazon