日本にはものすごい数の才能が発掘されないまま眠っている
──社名を「BMSG」にしたのは?
Be My Self Groupの略です。Be Myself=「自分のままにあれ」。あと、Brave(勇敢な)、Massive(大規模な、超すごい)、Survive(生き残る、生き抜く)、Groove(大いに楽しませる)の4つの頭文字でもあり、もともと25歳の頃にBULL MOOSE(ブルムース)というインディーズレーベルをやっていたことがあり、その遺伝子を引き継いでいる。その3つの意味があります。
──Be Myselfな環境をつくることが、新しい音楽ビジネスにつながっていくと。
ただ、ビジネス面での成功が目的になる組織はうまくいかないとは思います。BMSG自体も、もちろん目標の1つに組織としての成長は当然ありますが、まず前提としてはBe Myselfです。普通のことに聞こえるかもしれませんが、それがカウンターになってしまう今のその状況は、絶望的な気もします。
──Be Myselfな環境をつくる過程の1つのステップが私財を投じたオーディション「THE FIRST」だったと思いますが、始めた理由は?
BMSGの第1弾アーティストはラッパーのNovel Coreですし、自分の経験や知見が誰かの才能の役に立てると思ったのは、ダンス&ボーカルに限ったことではないのですが、特にダンス&ボーカルを志す方の中に肩身の狭さややるせなさ、行き場のない憤りや絶望を感じている方が非常に多かったんです。自分に寄せられるだけでも「話を聞いてください」「相談したいんです」という声がこれだけあるということは、まだ出会ってない、自分のような思いをしている人が日本にたくさんいるんだろうなと。
日本中にはたくさんのダンススクールがあり、幼少期から習い事として歌ったり踊ったりできる環境にある。それは世界的に見てもまれですし、K-POPのアイドルの数とクオリティーを考えると、日本にはものすごい数の才能が発掘されないまま眠っているぞと。出口がないから誰にも見つかっていないだけで、旗を揚げればたくさん集まってくれるのではないか。そんな確信で立ち上げたのが「THE FIRST」でした。
──「THE FIRST」では、オーディション参加者にSKY-HIさんが丁寧な言葉で何をすべきか伝える姿も印象的でした。
「THE FIRST」という名前の通り、これはBMSGにとっても1歩目でした。自分の考える最高のグループをつくるぞとか、オーディションがはやっているからやってみようなどという浅はかな考えではなく、本当に大切な大切な今後の人生を一緒に歩んでいける仲間探しでもあります。僕自身が「掲げた旗」に集ってくださった方に対しては、本当に感謝してもしきれないんです。
結果として今一緒に仕事をしている方もいれば、トレーニー(練習生)としてレッスンを積み重ねている方もいますし、契約などの形を取らない方など様々ですが、すべての方が掲げた旗のもとに集まってきてくれたことに変わりはないですし、本当に感謝しています。立ち上げのメッセージが届いたこともうれしいですし、最大限リスペクトは尽くしたかったのです。
Huluや『スッキリ』(日テレ系)での放送は5カ月でしたが、オーディション自体は10カ月。そのうち合宿は1カ月でした。正確にはそこから最終審査までに3回ほどの1週間合宿もありましたが、最初の1カ月の合宿は何よりも濃い1カ月で、一生の宝物をいただいていると思います。最高の一歩目でしたね。
#3に続く