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BE :FIRSTが人気を獲得できた理由

──「THE FIRST」から誕生した「BE:FIRST」は、なぜ短期間で今のような人気グループになったのでしょうか。例えばメンバーを選ぶ際に、今の時代感覚、ボーイズグループが受け入れられている世の中で新しい音楽ビジネスに向けたポイントなどはあったのでしょうか?

いや、ヒットなどは結果としてそうなればよくて、もちろんヒットしてほしいけれども、それは2番目ですね。なぜ「THE FIRST」や「BE:FIRST」が人気を得たかというと、今、すべては「表にばれる」時代だということが背景にあると思います。本気なのか、やりたくてやっているのか、楽しいかどうかということが。

20年前、30年前って、1日の中で人間がコンテンツに触れるのは2~3時間、例えばゴールデンタイムのテレビ番組などに限られていたと思うんです。でも今はその気になったら24時間、何かしらのコンテンツに触れられるから、人間のコンテンツに対する対応力が全然昔とは違います。

この前もレコード会社の方とお話をしていて違和感があったんです。例えばTikTokなどでは、ティーンエージャーなどが遊びでやっていたことが、インターネットを通じて、その街の遊びから市の遊びになり、県の遊びになり、国の遊びになって、それでヒットする曲がある。それは何匹もドジョウを生むでしょう、遊びなのだから。大人が「ヒットさせよう」と戦略的に使おうとしてもうまくいくわけはないと思っています。

でも、それはいいことでもあって、「THE FIRST」が他のオーディション番組と1番違ったのも、本当に本気でつくることだったんじゃないかと思います。オーディションの最後のほうは全員が受かりたい、落ちたくないよりも、「みんなでいいものをつくりたい」という人間誰しもが持っている、そういった純粋な気持ちになっていたと思います。

「環境が人をつくる」と思うのですが、「みんなでいいものをつくりたい」気持ちを大事にする環境であったり、そういったものを尊ぶ環境であったり、尊ぶ仲間が同じ場所に集まった。だから、さらにその環境が加速していく。

自分が「THE FIRST」でやった1番大きなことって、たぶん「本気で頑張る」とか「本気で夢を追う」「本気できれいごとを言う」みたいなのは絶対いいことだというのを本気で伝えて、その本気が視聴者に伝わったこと。その本気のままだからBE:FIRSTの本気も世の中にすごく伝わりやすいのかなと思います。

嘘がばれるという意味で言えば、(付け焼き刃の)クオリティーもばれる時代です。我々は歌とダンスと楽曲のクオリティー、クリエーティビティーに手を抜かず本気でやることも大事にして、徹底しています。そうしたことを打ち出しているエンタテインメントの組織や芸能事務所、ボーイズグループは日本にはあまりなかったと思うのですが、単純にクオリティーの高いものを見たいですよね。

そこをきちんとやれば、たとえ番組放送時には箸にも棒にも掛からなかったとしても1年2年と続けているうちに、「こういうのが見たかった」と世間が思ってくれる日が来ると思うから、クオリティーに手を抜かずにやっていれば絶対大丈夫だと。

結果として短期で大きく支持されたのは、本気のクオリティーや本気の意志が集うものってやっぱり美しいからじゃないでしょうか。