集英社オンラインが故メリー氏に対する質問をした理由 

「集英社オンライン」が会見でジュリー氏らに問いかけたのは、「故・藤島メリー社長を今、どう思うか?」という質問だ。

ジュリー氏の母親である故・藤島メリー氏は生前、事務所内外において、誰も逆らうことができない絶対的な権力者だった。
「私は相手が誰だろうと引きません」と常々話していたメリー氏に、我々マスコミも萎縮し続けてきた。事務所の実質的な経営者はジャニー氏ではなくメリー氏だった。
ジュリー氏も会見でこう話した。

「メリーは、私の母であると同時に会社の副社長としてずっと事務所を牽引し、ジャニーがプロデュースしたタレントを経営の面で支えてきたというふうに思います。やはり、あの2人が本当に一心同体となって会社を運営してきたという長い歴史のなかで、ジャニーのことをメリーが守りすぎたこと、それが今回、調査報告によって私も知らなかったことを知ることになり、すごくショックを受けております。それは情けない話ですが、そういう会話をしてこなかったので…本当に情けない話です」

東山新社長や井ノ原も、メリー氏の責任について言及した
東山新社長や井ノ原も、メリー氏の責任について言及した

これに続けて、東山新社長、井ノ原もこう話した。

「メリーさんの守るべき対象がやはり違ったのかなと今は思ってます。守るべきはやはり子供たちで、タレントです。大変複雑な思いでもありますが、あの時期にちゃんとしていたら、もちろん被害も広がらなかったと思いますし、ただ僕自身も何もしなかったのが事実で、やはり喜多川氏に物申すということは、あの時代ではちょっと難しかったかなと思います。もし物申す勇気があったら、もしかしたら変わっていたのかもしれないと思うと、やりきれないんですけど、やはり難しかったかなと思います」(東山)

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「ジャニーズJr.の時代は、メリーさんとの接点がほとんどありませんでした。デビューすると、なんとなく接点ができてくるものだったと思います。だから、仲間内では『メリーさんって本当にいるのかな』とか『ジュリーさんっていう人もいるらしい」』っていうようなぐらい接点がなかったです。ジャニーさんのことしかほとんど知りませんでした。

ただデビューしていろいろな所で、(メリーさんから)礼儀作法だったり、そういったことは非常に細かく教えていただいたとは思います。めちゃくちゃ怖かったです。いい意味でも悪い意味でもめちゃめちゃ怖かったなという印象です。ただ、チャーミングな部分も確かにあったと思うし、優しくしていただいたところもいっぱいあったと思います。ただ、そういった意味で怖さとかそういう部分が皆を萎縮させてしまい、忖度が働いたりする部分は確かにあったんじゃないかなと思います」(井ノ原)

メリー氏とジャニー氏の姉弟は戦前、アメリカのロサンゼルスで過ごし苦楽をともにしてきた。朝鮮戦争に従軍後、アメリカ大使館職員として日本に戻ったジャニー氏が、近所の子どもたちとはじめた野球チームがアイドルグループ「ジャニーズ」の原点だ。その後、メリー氏とともにはじめた事務所は大手事務所の“間借り”からスタートしたが、ジャニーズ、フォーリーブス、たのきんトリオといったスターたちを次々と生み出し、半世紀以上にわたり日本のエンターテインメント界をリードしてきた。そしてその間、姉は弟の犯罪を庇い続けた。

いっぽうメリー氏とジュリー氏の関係は「いびつな時期があった」とも、複数のジャニーズ関係者が証言する。井ノ原は3人の関係についてこう会見で話した。

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「印象的だったのは、晩年にジャニーさんとジュリーさんとメリーさんが3人でいたのを初めて見たことです。それぐらいお三方(一緒)にあまりお会いしてなかったんだなというふうに思います。ちょっと写真撮りたいぐらいでした。それぐらい僕は…3人が集まったのを初めて見ました。そういった、なんか外から見ると複雑というか、よくわからないかもしれないですけど、そういう部分がある事務所だったと思います、今までは…」

ジャニーズ事務所は10月1日から完全新体制で再出発する。東山は、年内で表舞台から引退し社長業に専念する。

「過去は変えられないわけです。裏切られたと思ってるファンの方もたくさんいらっしゃると思います」
ファンに向けそう語った東山新社長、そしてジャニーズ事務所が信頼を取り戻すための、再生にむけた茨の道ははじまったばかりだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/村上庄吾