インターネット依存傾向とうつ病の有病率

続いての認知症リスク要因は「うつ病」です。厚生労働省の「平成30年版厚生労働白書」によると、うつ病を含む気分障害の患者数は年々増加しており、2017年時点で127.6万人と推計されています。1996年時点の患者数が43.3万人となっており、約20年間で3倍近くも増加していることになります。

オンライン習慣とうつ病の関係については、インターネットが普及し始めた1990年代当時から、米国のキリバリー・ヤング博士らによって指摘されていました。インターネット依存症テストを考案した博士です。

その後、世界中で同様の研究結果が報告され、2004年から11年の間に四つの国と地域で行なわれた八つの研究結果を統合した研究でも、インターネット依存傾向とうつ病の有病率の関係が示されています。

合計1641人のインターネット依存傾向の高い人たちを分析した結果、依存傾向の低い人たちのうつ病の有病率が11.7%であったのに対し、依存傾向の高い人たちは26.3%と2倍以上も高いことを報告しています。

さらに、年代別に分けて解析した結果、インターネット依存傾向の高い40代以上の中高年で最も有病率が高く、35.8%となっていました。

どうしてインターネットをたくさん使用する人たちは、うつ病の傾向が高くなるのでしょうか?

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SNSの投稿と自分自身を比べてしまう人たち

その理由の一つとして、SNSの使用が考えられます。2012年から18年までに発表された33報の論文を統合した研究では、SNSの使用とうつ病の傾向に関係があることが報告されています。

合計1万5881人を対象に行なわれた研究を解析した結果、SNSの使用時間が長いほど、またSNSを頻繁に確認するほど、うつ病の傾向が高いことがわかりました。特にSNSの投稿と自分自身を比べてしまう人たちほど、うつ病の傾向との関係が強く見られました。

米国では、89人の大学生を対象に、Facebookの使い方と幸福感の関係を調べる実験が行なわれました。6日間にわたり、参加者に1日5通のメッセージを送り、Facebookの使用状況と幸福感を尋ねました。

解析の結果、自分の近況などを投稿する能動的な使い方をした場合と比べて、他人の投稿を見るなど受動的な使い方をした場合に幸福感が低くなることがわかりました。さらに、他人の投稿を見た場合の嫉妬心が幸福感の低下を媒介していました。

SNSの投稿は、人生の上澄みです。誰しも自分が最も輝いている瞬間を切り取って、SNSへ投稿しています。ときに写真も、不自然なまでに綺麗なものへと加工されています。

そんな他人の人生の最大値と、自分自身の平均的な日常を比較しても、見劣りしてしまって当たり前です。それでも私たちは、SNS上のキラキラとした世界と自分を比較して、勝手に落ち込んでしまうのです。