ウクライナ戦争終結のカギを握るプーチン大統領。その後継者は子分か闇ビジネス仲間か、それともイエスマンか
長期化するウクライナ戦争の終結は、今後のロシアがどうなるか、つまり、プーチン政権がどう終わるかにかかっていると言っても過言ではない。では、プーチン政権後のロシアの覇権を握る後継者は誰か。プーチン大統領に関する翻訳書を手がけてきた山形浩生氏と軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏による対談を『プーチン重要論説集』 (星海社新書)より一部抜粋してお届けする。
プーチン重要論説#2
プーチンの後継者は誰か?
山形 プーチンの後継者、ということを考えるとどうでしょうか。一時期はメドベージェフが後継者になるかとも思われましたが……。
黒井 メドベージェフはサンクトペテルブルク時代からのプーチンの子分なんですよね、主人であるプーチンに一生懸命付き従う奴隷のような。現在のナンバー2はパトルシェフですが、同世代なので後継者という感じではありません。今のプーチンの側近は昔からの人ばかり、レニングラード時代のKGBの仲間と、サンクトペテルブルク副市長時代に闇ビジネスをやってきた仲間ばかりです。
山形 新しいのはショイグくらいですよね。
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黒井 ショイグはイエスマンなので、プーチンに意見できる立場ではないんですよね。ラブロフもそうです。結局みな子分ではあるけど、後継者かというと疑問の余地があります。憲法上、何かあったときに大統領の代理を務めるのは首相ですが、今の首相のミシュスチンはただの経済官僚で、有事に動くのはパトルシェフでしょうね。もっともパトルシェフはプーチン以上に好戦派です。
山形 いずれにせよ、今後のロシアがどうなるかはプーチン政権がどう終わるか次第、ということですね。
#1 なぜ歪曲されたプーチン像が流布されるのか? ウクライナ戦争をもっと正しく理解するために日本人ができる情報源の選択
『プーチン重要論説集』 (星海社新書)
ウラジーミル・プーチン、山形 浩生
2023年9月21日発売
1,980円(税込)
544ペ-ジ
ISBN:978-4-06-533265-8
プーチン自身の言葉でたどる「ウクライナ戦争への道」
プーチンはロシア大統領就任後、数多くの演説や論文を発表し、自らの意見を世に問うてきた。その中から20の論説を精選して、プーチンがロシア再生からウクライナ戦争までの道筋をどう考えて行動し、また国内外に宣言してきたのかを検証するのが本書である。ソ連崩壊後の惨状からロシアを建て直し、テロ対策で一度は国際社会と協調するもやがて欧米に失望し、2008年のジョージア侵攻や2014年のクリミア侵攻で軍事力に自信をつけ、2022年のウクライナ戦争を決断するまでの、20余年のプーチンの言葉を実際の行動と対比し、世界を変えたウクライナ戦争がなぜ起きてしまったのかを、より深く考える一助としたい。
<解説対談>専門家に聞くプーチンの言葉と思想 黒井文太郎×山形浩生