「似ているところもなく何をもって『盗用だ』と主張しているのか…」
青葉被告が犯行当時から京都アニメーションが盗用したと主張している作品は複数あるが、そのうちのひとつが『ツルネ-風舞高校弓道部-』だった。本作は高校生の主人公が弓道部で県大会優勝を目指す青春群像劇。京都府警関係者が語る。
「青葉被告は過去に『京都アニメーション大賞』に小説を応募していたが、応募形式上の不備があり京アニ関係者は目を通すことなく落選にしている。小説は学園モノではあったが弓道とは関係がなかった。だが、青葉被告は盗用されたというシーンに対して匿名掲示板に『すげえ ツルネでもパクってやがる ここまでのクズども見たことねえ つくづく、相容れない』と書き込んでいる。
当該シーンについても確認しているが、男子高校生の弓道部員が買い出しなどの雑務をするシーンで、何の変哲もない高校生の1日だ。青葉被告の小説と似ているところもなく、何をもって『盗用だ』と主張しているのか首を捻る捜査員も多かった」
事件を起こすまで青葉被告は一体どのように過ごしてきたのだろうか。埼玉県内の中学校を卒業後、同県内の定時制高校の夜間部に通いながら県の非常勤職員として勤務し、その後はコンビニでアルバイトしたり、人材派遣に登録したりなどしていた。茨城県内の郵便局で勤務していたという記録も残っているという。社会部記者が当時の取材を振り返る。
「青葉被告の家庭環境は複雑で同情すべきところもありました。青葉被告の父親はもともと保育施設で働く女性と結婚して6人の子供をもうけました。ですが、あるとき同じ保育園の別の職員と不倫し、駆け落ちしていまいます。駆け落ちした相手が青葉被告の母親です。
青葉被告には兄と妹がいて、さいたま市で5人家族で暮らしていましたが、母親は3人の子供を残して家を出てしまっています。残った父親がタクシー運転手として働き生活を支えていましたが交通事故を起こして怪我をし、その後、解雇されます。家賃を滞納するようになり、そこから少しずつ家庭が崩壊していきました」
生活を支えきれなくなったのか1999年12月、父親はさいたま市緑区のアパートで自殺した。青葉被告が春日部市内でひとり暮らしをしていた時のことだ。父の死後、青葉被告は春日部市内で女性の下着を盗んで逮捕されている。前出社会部記者が語る。
「立て続けに肉親を失ってブレーキがきかなくなったかのように犯罪に手を染めました。下着を盗んだ事件については執行猶予付きの判決でしたが、2012年6月に今度はコンビニエンスストアに押し入り、店員を包丁で脅して約2万円を奪いました。強盗などの罪に問われ懲役3年6ヵ月の実刑判決を受けています。刑務所内でもティッシュを口に詰めて自殺をしようとしたり、暴れたりしたことで懲罰房に入れられていたこともあったようです」