学校がつまらないから“界隈”へ、そして…

また、多様性が叫ばれて久しい昨今だが、皮肉なことにインスタグラムやTikTokといったSNSの一般化によって、ルッキズムに拍車がかかっているそうだ。容姿の良し悪しはフォロワーの数やPV数、いいねの数に影響することがその理由のひとつだろう。

「そうすると、例えば、“ブス”といった誹謗中傷を受けたとき、『気にするな』という慰めは無意味。一度、そのようなレッテルが貼られてしまえば、コミュニティの狭い子どもにとっては逃げ場がないのも問題です。
また、女子の場合はかわいいからイジメられるパターンもあります」(徳丸さん)

こうして学校に行きづらくなってしまった子どもたちは、トー横をはじめとする、いわゆる“界隈”へと足を向けるのだ。

行き場を失いトー横に集まる若者たち
行き場を失いトー横に集まる若者たち
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実際、子どもたちに話を聞いてみると、「学校はつまらない。学校の子とは話が合わない」「(精神的な病気を抱えている)自分を腫れ物のように扱う。また、病気のことなどを話せる友達もいない」などの声が聞こえてきた。
「ここに来れば自分と合う人と出会えるかもしれない」と思い、遠方から足を運んできている子どももいた。

学校へ行くことを苦痛に思うことが、こうした界隈へと流れたり、「9月1日問題」の遠因となっている。どうすれば解決できるのか。その糸口を見つけるのは簡単ではないが、徳丸さんはその対策としてこのように語る。

「『自殺しかない』と選択させないためには、よりしんどい状況におかれている子どもを地域で、見守り育てることが大切だと考えています。また、子供だけでなく、その保護者を励まし、サポートしていくことも必要です。
そうすれば、子供たちが足しげく繁華街に通うことも防げるのではないでしょうか。
予防的な観点からも、地域支援の大切さを改めて痛感しています」

取材・文/中山美里
集英社オンライン編集部ニュース班

※今、悩みを抱えているというかたは、「日本いのちの電話」などの相談窓口を、厚生労働省のホームページでは、このほかにも様々な相談窓口が紹介されています。

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