「今後30~40年は移民を巡る競争に」
国連は今後50年間で先進国の人口が2割近く減少する可能性があると推測する。米ワシントン大・保健指標評価研究所(IHME)のクリストファー・マレー所長は「今後30~40年は移民を巡る競争になる」と予言する。
未踏の時代をどう生き抜くか。一つのカギは「選ばれる国」になることだ。移民政策が専門の山脇啓造明治大教授は「積極的な受け入れ政策をとるなら外国人労働者が定着・永住できる選択肢を広げることが重要」と訴える。
ただ、移民・難民の増加はあつれきも生む。シリア難民を積極的に受け入れたスウェーデンでは、受け入れ凍結と「スウェーデン人最優先」を訴える極右政党が18年の議会選挙で台頭した。
人口減時代が本格的に訪れれば、もはや移民に頼り続けるのは難しい。当面は外国人労働者をひき付ける工夫をしつつ、長期的に経済全体の生産性をいかに底上げしていくか。その巧拙が各国の経済の浮沈を左右する。
「出生率1.5」の落とし穴
「子どもがいなければもっと自由に生きられる」
韓国の大手エンターテインメント企業の女性管理職(41)は結婚時、夫と話し合い子どもを持たないと決めた。
子どもは好きだが、教育費は増すばかり。あるソウルの有名学習塾の費用は月500万ウォン(約50万円)。不動産の高騰や厳しい雇用環境も子育ての足かせとなる。周りには結婚すらしない人も多く、小学校教諭の姉も「非婚宣言」した。
韓国は2020年の出生数が過去最少の27万2400人。女性1人が生涯に産む子どもの推定数(合計特殊出生率)は0.84で世界最低水準だ。
超少子化に陥る分水嶺とされる出生率1.5を長く下回った後に回復した国はほぼない。子どもが少ないのが当たり前の社会になり、脱少子化が困難な「低出生率のわな」に陥る。1.33の日本も直面する現実だ。