「性欲はあるけど、抱かれた時のにおいとか感覚がどうしてもダメで…」

断っておくが、発達障害があったからといって、すべての人がこの夫と同じようなことをするわけではない。発達障害に加えて、本人のさまざまな特性や生まれ育った環境などが複雑に絡み合い、こういう状況が生まれるということだ。

ただ、A子さんにしてみれば、これまでの結婚生活のさまざまな状況から、話し合って解決できる問題ではないという結論に至ったのだろう。それが離婚の決定的な動機となった。

夫の風俗通いをOKにしたけど離婚に…夫婦の夜の生活で発覚する発達障害の問題「性欲はあるけど、抱かれた時のにおいとか感覚がどうしてもダメなんです」_3

A子さん夫婦とは逆に、発達障害ゆえに性行為を極度に苦手とし、遠ざけようとする人もいる。次はその例を紹介したい。

B美さんは高校生のころに発達障害だと診断され、薬の服用をはじめたという。その後20代半ばで結婚を前提としたマッチングアプリで出会った3歳年上の男性と結婚した。
B美さんは20代前半の時に2回だけ性行為をして別れた彼氏がおり、その次に付き合ったのがこの夫だったらしい。結婚を前提としたマッチングアプリで出会ったため、実質3週間で結婚に至ったそうだ。

同じマンションに暮らしはじめて彼女が気づいたのは、自分には性行為が合っていないということだった。彼女には発達障害の症状の一つである感覚過敏があり、男性の体のにおいだとか、体毛が触れるザラザラとした感触が耐えられないほど不快に感じるのだ。それは夫だろうと例外ではなかった。

「性欲がないわけではないのですが、それ以上に抱かれた時のにおいとか感覚がどうしてもダメなんです。もうちょっと頭がおかしくなっちゃうくらい嫌なんです。結婚当初は数週間に1度は我慢して受け入れていたんですが、しばらくしてどうしようもなくなって拒むようになりました」(B美さん)

さほど性体験がない状態で結婚したがゆえに、結婚後に自覚することになったのだろう。