1日おきに1時間きっかり性行為
●A子さん(30代女性)
20代前半で、A子さんはSNSで知り合った男性と交際3か月で結婚した。11歳年上の夫は、後に発達障害であることが判明するが、出会ったころは「ちょっと変わった人」くらいの印象しかなかったらしい。
結婚後に一緒に暮らしはじめると、A子さんはだんだん夫の融通の利かなさが目に付くようになった。片付けや物の置き場所に異常なくらい固執し、髪の毛が落ちているだけでパニックになった。食事への執着も尋常ではなく、朝昼は自分で毎回同じものを作って食べ、夕飯は細かく献立を決めてA子さんに調理させた。
A子さんは若かったこともあってがんばって要求に応えたが、夜の営みはまた別だった。夫は必ず1日おきに23時~24時までいつもまったく同じ順序で性行為をしようとした。しかも決まって60分ちょうど。たとえ、A子さんの体調が悪くても、いっさいお構いなしで、断られれば激昂する。それは子どもが生まれ、育児で大変な時期も変わらなかった。
彼女は言う。
「赤ん坊が夜泣きしていても、私が風邪をひいていいても、強引に体を求めてくるんです。行為もすごく一方的で、なんかロボットがやっているみたいな感じでした。愛情が感じられないんです。
私は肌を重ねることが本当につらくなって、何度か『無理してまでやらなくていいじゃん』と言ったんですが、その度に猛烈に怒りはじめて2時間も3時間も説教されるんです。それでケンカになるくらいならと、心を無にして受け入れることにしたんです」
そんな夫婦関係が揺らぐのは、30代前半だった。A子さんは子宮の病気が判明して手術を受けることになった。だが、夫は術後で体調不良がつづくA子さんにすら、無理やり性行為を求めてきた。
もう耐えられない。A子さんは直に夫に話しても理解されないので、これまでのことを義理の両親に相談した。義理の両親からは離婚を決める前に、一度夫を病院へ連れて行こうと提案された。義理の両親も彼の言動にずっと違和感を覚えていたらしい。