最悪なwoke(意識高い系)映画と批判される

『バービー』の上映禁止、ネットミーム炎上、バービー人形燃やし騒動…世界中でアンチ旋風が吹き荒れたのに全世界興行収入約12億ドル達成ヒットのナゼ_1
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公開からわずか17日間で世界興行収入が11億8000万ドルに到達し、ワーナー・ブラザース作品で史上最速の10億ドル突破を記録した『バービー』(2023)。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011)が持つ19日間という記録を2日も縮めている。
また、グレタ・ガーウィグ監督は女性監督として史上最大のオープニング週末興行収入を達成。映画会社は“バービリオン” (Barbieとbillion=10億をあわせた造語)に狂喜乱舞しているはずだ。

しかし、公開前にはアメリカの一般ユーザーがX(旧ツイッター)に投稿した原爆をからめたファンアートに、『バービー』公式アカウントが好意的な反応を示したことで、日本で大いに物議を醸した(現在はワーナー本社が正式に謝罪)。

また、全米公開直前、劇中に登場する地図に「九段線」※が描かれているとして、ベトナムとフィリピンが公開禁止を決定。これを受け共和党のテッド・クルーズ上院議員は、未見であるにもかかわらず「『バービー』は親中国映画である」と糾弾した。

※中国が南シナ海における領有権を主張している線。2016年、オランダ・ハーグの仲裁裁判所で法的根拠はないと裁定が下された。

FOXニュースを筆頭に右派&保守派のコメンテーターが次々と『バービー』を「最悪なwoke映画」と批判した。なかでも、保守派の政治評論家ベン・シャピロが公開した焚書ならぬ焚バービー映像が話題となった。

ちなみにここでいう“woke"とは、LGBTQ +の人々の権利擁護や人種問題といった、不平等や社会格差に目を向ける意識の高い人々を貶すスラングだ。こうした知名度のある政治家や政治評論家による公開前のネガティブ・キャンペーンが、作品にマイナスの影響を及ぼすのではないかと危惧されたが……。