まさかのフランス製サメ映画
夏だ! 海だ! サメ映画だ!
元をたどればアメリカで、ここ数年は中国で、そして当然、日本でも大盛り上がりを見せているサメ映画に、またも新たな作品が現れた。“フランス映画史上初のサメ映画”という触れ込みで来日した、その名もズバリ『シャーク・ド・フランス』だ(2022年/原題:『L'année du requin』/英題:『Year of the Shark』)。
かのスティーヴン・スピルバーグ監督作『ジョーズ』(1975)が確立したフォーマットに沿いつつも、フレンチ・コメディらしいシニカルな視点と、コロナ禍やSNS社会などの現代的な小ネタが光る本作。いわゆるパニック映画らしいド派手さやカタルシスとは無縁だが、その独特の空気感が心地よく、正直なところ非常におもしろい1本だ。
というわけで当記事では、まさかのフランス製サメ映画、『シャーク・ド・フランス』を紹介していこう。
南フランスの小さな村、ラ・ポワント。誰もがのんびりと日々を過ごしているこの地の海で、ある日凄惨な殺人事件が発生。早期退職を間近に控えていた、海上憲兵隊のベテラン上級曹長マジャ・ボルドナーヴは、本来ならばラ・ポワントには出現しないはずの人食いザメが、この事件の真犯人であると判断。早速住民の抗議を押し切ってビーチを閉鎖すると、自らサメ退治に乗り出す。