同じ大学の研究生からハグ。そしてキスをされて…

ひと息ついたところで、私は早速、本題に入ることにした。そう、シェリーさんの恋愛についてである。研究ばかりしているとはいえ、清潔で好感を持たれやすい容姿をしているシェリーさんをオーストラリアの男子大学生たちが放っておくわけがない。アプローチは、きっとあったはずだ。私がそれを言うと、

「全然全然、全然。誰も来ない」

シェリーさんは3回「全然」と繰り返して、軽く笑い飛ばした。本当に、これまで何にもなかったのだろうか。たとえばキスは? と尋ねると、

「ちゃんとしたのもあります。オーストラリアで、5年くらい前」

【35歳大人処女のリアル】なぜ聡明でキュートな才女は30歳を過ぎても処女でいることを選択したのか?_4
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おもしろい日本語が返ってきた。ここからの話になると、急にシェリーさんの口数が減って、話す言葉の長さも短くなった。勉強のことは聞かなくてもよどみなく話していたのに、恋愛のことになると、急に一問一答に変わっていた。

その男性は同じ大学の研究生で、これまでも「友達の範囲内」として皆と一緒に話をしたり、彼の家に遊びに行ったりもした。その日も、いつものように友達として、その彼の家へ遊びに行った。日本では男性の家へ行ったら、何かあっても「OK」と解釈されやすいが、どうやら感覚が違うらしい。

その日、突然、彼がシェリーさんをハグし、キスをしてきた。そのキスは、次の段階に進む気配の感じられるキスだった。

2へつづく

#2 「性的欲求なんかもないですしね」。恋愛よりも勉強の方が楽しいと言い切る35歳・大人処女のリアルな欲望
#3 【35歳・大人処女】大好きな木村拓哉がアプローチしてきたとしてもNo! 「まずは友達としてご飯」「顔いいね、くらい。景色と一緒。そんなもん」

文/家田荘子

『大人処女ーー彼女たちの選択には理由がある』(祥伝社)
家田荘子
【35歳大人処女のリアル】なぜ聡明でキュートな才女は30歳を過ぎても処女でいることを選択したのか?_5
2023年8月1日
1,056円
272ページ
ISBN:978-4-396-11685-9
9者9様のドラマ
不倫、少女売春、風俗、高齢者の性など光の当たっていない世界を取材してきた著者は、池袋の淫靡な雰囲気が漂うバーで、男性経験のない清楚な女性従業員・梓さん(仮名、28歳)に出逢う。5年後、19歳年上のイラン人男性と結婚した彼女と再会し話を聞くと、結婚前も結婚後も夫と肉体関係はないと言う(夫以外ともない)。30歳を過ぎて性経験がない女性、大人処女。彼女たちは、なぜそれを選択したのか。著者は、梓さんを含む9人に寄り添うように取材、すこしずつ聞き出していく。そこには、9者9様のドラマがあった。さまざまな価値観と生き方を伝えるノンフィクション。
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