「IQ70未満」が知的障害の認定基準のひとつに
1つ目の「知的機能に障害があること」は、知能検査によって測ることが一般的です。
知能検査は検査機関によって方針が異なりますが、子どもの年齢や発達の程度に応じて、おおむね5歳くらいを境に5歳以下であれば発達検査(新版K式発達検査など)、5歳以上だと知能検査(田中ビネー式やWISC検査)を行うことが多いようです。この検査によって、知能指数(IQ)や発達指数(新版K式では発達指数DQ)が平均よりどのくらい低いかを調べます。
都道府県によって多少の違いはありますが、「IQ70未満」(一部に、「IQ75未満」とするところも)が知的障害の認定基準のひとつになっています。
2つ目の認定基準は、その障害が発達期(だいたい18歳まで)に発症していることです。
何かの原因があって大人になってから知的能力に問題が出てきた場合は、知的障害には認定されません。ただこの18歳については、世界の知的障害分野に大きな影響力のあるアメリカ知的・発達障害協会(AAIDD:American Association on Intellectual and Developmental Disabilities)が10年に一度改定している「知的障害:定義、診断、分類および支援体系」(第12版、2021年)では22歳と変更されています(第11版では18歳。日本語訳は令和5年7月現在では11版)。このため将来的には日本でも22歳となる可能性があります。
そして3つ目、「日常生活の困難さ」もポイントです。
例えば、学校に行けなくなったり、仕事が続けられなかったり、対人関係がうまくいかなかったり、何らかの社会的な障害が生じて、初めて「知的障害」と診断されます。
ですので、たとえIQ65でも、とくに支障なく社会で生活できている人には、わざわざ「知的障害ですよ」と認定する必要はありません。それは発達障害も同様です。知的障害も発達障害も、社会生活を送る上での生きづらさがプラスされて、初めて診断がつくものです。