ドルを買いあげる中国人民銀行

デフレ経済では需要の萎縮のために物価や賃金が上がらない。需要を増やすための近道は実体経済を刺激する財政支出を拡大させることだが、政府は消費税増税と財政支出削減による緊縮財政路線をとりつづけてきた。

2012年12月に始まったアベノミクスは脱デフレを目指したが、その役割はもっぱら日銀の異次元金融緩和政策に任された。日銀が巨額の資金を発行して、0%以下の資金を市中金融機関に供給する。市中銀行がその資金を融資に回せば、生産や設備投資が活発化する結果、需要が増えるという好循環を企図したのだが、そういかなかった。消費税増税など緊縮財政の影響で需要が増えなかったためだ。 

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増発される日銀資金は国内での資金需要不足のため基軸通貨ドルが支配する国際金融市場に流れでる。さまざまな国の金融機関や企業が国際金融市場で資金調達するが、なかでも高目の成長が続く中国が大口の借り手となる。米欧の投資ファンドなど金融資本は対中投融資に血道を上げる。

中国の中央銀行である中国人民銀行は人民元資金を発行して流入するドルを買いあげる。国有商業銀行などは人民元資金を融資し、国内の生産や不動産開発など固定資産投資を活発にする。結果、カネは商業銀行預金となって還流する。貸し出しが新たな預金を生む信用創造が現預金を膨張させるのだ。