社内中で「ヤリマン」と言われて

冒頭で、発達障害の特性が職場いじめにつながることがあると述べたが、その形はさまざまだ。たとえば、次のような誤解がいじめのきっかけとなる。

・相手の気持ちや空気が読めないので、コミュニケーション力が弱いとされる。
・集団行動が苦手なので、結束を壊していると受け止められる。
・一つのルーティンにこだわるので融通が利かないと見なされる。
・いろんなことに注意が向くので、集中力がないとされる。
・音や臭いに過敏になるので、仕事を思い通りに進められない。
・文字を読んだり、声を聞き取ったりするのが苦手なので、不真面目とされる。


最近は、企業の倫理もそれなりに高まり、発達障害の従業員に対する理解は少しずつ進んでいるといえる。

だが、従業員自身が発達障害を自覚していなかったり、会社がフォロー体制を整えていなかったりすれば、上記のような誤解が生まれ、いじめにつながるリスクが高まる。集英社オンラインに届いた体験談には次のような話もあった。

「私(女性)は発達障害のせいで、うまく話が聞き取れずに思わず相手の近くに寄ったり、相手の誘いを断れずに何でも『はい』と言ったりします。
そのせいで、会社の男性のあいだに『あの女は、男好きだ』『誘ったら絶対に断らない』という話が広がって、次々に飲みに誘われ、ホテルに連れて行かれ、そのことが女性の間にも広まって『ヤリマン』と言われていじめられました。上司もみんなそんなふうに私を見ていたので、相談できる相手がいませんでした」

肉体関係の強要、パワハラ…職場いじめの対象へと発展しかねない、大人の発達障害にみられる6つの特徴_2

「私(男性)は子供のころから無表情だって馬鹿にされていました。自分じゃ意識していませんが、そうみたいです。その無表情のせいで、仕事の最中に上司やお客さんから『一人でシラけてるんじゃない』『反省してないだろ』『客に対して反抗的な態度をとるな』などと言いがかりをつけられ、辞めるまでの2年半ずっといじめられつづけました」

この2人は自分が発達障害であることを周囲に打ち明けたが、一様に「みんな多少は発達的特性はあるものだ。そんなものは言い訳にならない」と一顧だにされなかったそうだ。一般的には、社会全体での発達障害の割合は、7人に1人ともいわれている。そうした統計が逆に都合のいい解釈につながったのだろう。