日本人を苦しめる年齢のカテゴライズ

20代の頃の青木さん
20代の頃の青木さん

――それでも折れずにここまでロリータを貫いた、その原動力になったものはなんだったんですか?

年齢を公表したら共感してくださる方がたくさんいたんです。自分がコンプレックスだと思っていた年齢のことで、共感してもらえたり、人に励ましを与えることが多かったので、隠すことじゃなかったんだなって。そういう反応が原動力になりましたね。

日本や海外での活動でわかったんですけど、ロリータちゃんたちの年齢はわりと高いんですよね。やっぱりみんな、いくつになっても可愛い服を着たいんだなって実感したんです。だから私が先頭に立ってロリータを着ることによって、何歳になっても好きな服を着ていいんだって思ってもらいたいと思っています。

「ロリータババア」と言われても貫いた青木美沙子のロリータ道。「30歳で結婚、35歳で出産、40歳は落ち着いたファッション…日本の女性が抱えがちな社会的ルールから抜け出したくて」_7


――海外での活動を通じて、日本で、何歳になっても好きなことを貫く難しさを感じられたのかなと思うのですが、周りに合わせなきゃいけないという考え方は日本ではやっぱり強いと感じますか?

強いと思いますね。みんなと同じように生きて、みんなと同じお洋服を着ているほうが、人から注目を浴びなくて済むから楽だっていうほうが多いのかもしれないですね。

中国の方とかはわりと目立つことの好きな方が多いので、中国では今、ロリータファッションがブームです。ロリータは日本発祥の文化ですけど、日本では、ロリータは若くないと着られないと思われていたり、コスプレと混同して、ファッションだと認識されていなかったりもするので、それが悲しくて。

それに、日本人はすごく年齢を気にしますよね。年齢でカテゴライズされてしまうことが多いから、そういう考え方が減れば、好きなファッションを楽しめたり、人生を豊かにできる人が増えるんじゃないかと思っています。

#2へつづく

#2 看護師×ロリータの二刀流だったから青木美沙子には今がある。「生半可な気持ちで看護師をやらないでください…ロリータモデルとして生きてきて、悔しいことしかなかった」

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「ロリータババア」と言われても貫いた青木美沙子のロリータ道。「30歳で結婚、35歳で出産、40歳は落ち着いたファッション…日本の女性が抱えがちな社会的ルールから抜け出したくて」_10

取材・文/川辺美希 撮影/杉山慶五