「泳げるようになってから利用してほしい」と高齢者
子ども用プールがない一部の都内公営プールでは、第1レーンを高齢者&子ども向けコースに指定している。万一の時にプールサイドにつかまることができ、安全を確保できるためらしい。
ただ、第1レーンの利用者は水中ウォーキングを楽しむ高齢者がほとんどで、子どもの姿は意外に少ない。子どもは日中、学校にいるからだ。
そこに、バタ足で派手に水しぶきをあげる小さな子どもを連れた親子連れの乱入が急増し、高齢者から総スカンを食らっているという。
第1レーンの常連だという60代女性が顔をしかめる。
「小さな子どもは危ないんですよ。とくにまだ顔を水につけられないような子どもは溺れかけて泣きさけんだり、バタ足をする時に後ろの人を蹴ったり。進行方向がよくわからなくて、逆行する子もいます。
ある程度泳げるようになってから利用してもらわないと、本当に迷惑です」
別の60代男性もイラついた表情でこう続ける。
「親子連れは大声で騒いだり、マナーが悪すぎます。泳ぎの練習がしたいんだったら、スイミングスクールに通えばいいし、水遊びではしゃぎたいんだったらレジャープールに行くべき。
公営プールは水泳を通じて健康を維持したいという利用客が多いんだから。親御さんたちにはすみ分けを考えてほしいと思いますね」
そんな高齢者からの苦情を連日受けるはめになった公営プール側も戸惑いを隠せない。
「親子連れの方にはプールの水深を浅くしている土日祝日の利用を勧めています。ただ、それでも高齢者が親子連れに強い口調で叱責するなど、トラブルが絶えません。今は夏休みで親子連れの平日利用も多いので、トラブルが起きないように監視員も気を配ってはいるのですが、それでもすべてを管理できていないのが実情です」(東京都台東区清島温水プール職員)