日本は世界一のギャンブル依存大国

運用方法に課題はあるにしても、生活保護というシステムがあり、国民皆保険に守られている日本でも、ホームレスが後を絶たない現実を踏まえ、独自に「ギャンブル依存症問題研究会」を立ち上げた「ビッグイシュー基金」は2016年、ギャンブル問題当事者の体験談集『ギャンブル依存症からの生還──回復者12人の記録』を発行した。

「高校生のときにパチンコにはまり、消費者金融からの借金を重ねて、最後にはコンビニ強盗で逮捕された20代男性」「育児ノイローゼのため、子供を預けて逃避したパチンコがやめられなくなり、やがて精神科にかかって安定剤の薬剤治療を受けつつも、泣きながら打ち続けた40代主婦」……。

【世界一のギャンブル依存大国ニッポン】世界一の電子ギャンブル機を持つ日本で江戸時代から続くギャンブルとホームレスの関係_3

掲載された体験談を目で追っているだけで、読む側の胸は張り裂けそうになる。

さらに、ビッグイシュー基金は、2015年、18年の2度にわたって冊子『疑似カジノ化している日本』を発行し、気鋭の学者らと一緒に、統計的な根拠などに基づいてギャンブル依存の問題を多角的に検証した。GDP世界第3位の先進国が「国家的疑似カジノ」とはなかなか過激だが、まとめられたデータを見る限り、それが決して大げさではないことが理解できる。

たとえば、各国の「ギャンブル障害(依存)」の有病者割合。

アメリカ0・42(ラスベガスに限ると3・5)%、カナダ0・5%、英国0・5%、スイス0・8%などの数字が並ぶが、日本はなんと3・6%だった。アジアでも、カジノが盛んなマカオでさえ1・8%なので、日本の突出ぶりは際立っている。しかも、日本国内の2008年の調査にさかのぼると、男性9・6%、女性でも1・6%と、目を疑うような結果が出た。