プロセス技術に必要な「要素技術者」「インテグレーション技術者」「生産技術者」

要素技術者 
半導体のプロセス技術には、成膜、リソグラフィ、ドライエッチング、洗浄、検査、CMP(化学的機械研磨)、熱処理、イオン注入などがある。それぞれには、専門のプロセス技術者が十数~数十人必要である。微細加工技術のリソグラフィとドライエッチングには、最も多くの技術者を必要とする。 

インテグレーション技術者 
要素技術を組み合わせて、希望する半導体の性能を実現するためのプロセスフローを構築する技術をインテグレーションと呼ぶ。半導体メーカーにおいては、最も有能な技術者がインテグレーション技術者になる。筆者が現役の頃は、その素質がある者が、10年ほど経験を経て一人前のインテグレーション技術者になっていたように思う。そのインテグレーション技術者も数十人規模で必要になるだろう。

生産技術者 
インテグレーション技術者が構築したプロセスフローで試作を行って、シリコンウエハ上に1個~数個程度の半導体が動作したら、そのプロセスフローを量産工場に移管し、高歩留りが得られるように徹底的に改善が行われる。ここで活躍するのが生産技術者である。

以上の要素技術者とインテグレーション技術者の合計で数百人以上必要であろう。また、量産工場には1‌0‌0‌0人単位の生産技術者が必要になるだろう。

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IBMには要素技術者とインテグレーション技術者がいる。「だから、ラピダスにはそれほどの技術者は必要ない」というわけにはいかない。

ラピダスがIBMの技術を受け取り、そのプロセスを改良して試作ラインで流せるようにするためには、やはり数百人の技術者が必要である。さらに、IBMには量産工場がないので、ラピダスは1‌0‌0‌0人規模の生産技術者を準備しなければならない。

まとめると、選りすぐりの要素技術者とインテグレーション技術者が数百人、量産を立ち上げる生産技術者が1‌0‌0‌0人規模で必要となる。その技術者はどこにいるのか?