スロベニア、リトアニアにも抜かれた日本の平均賃金
円安が進んで、輸入物価が急上昇している。これは、円の購買力が低下して、ドルと交換できる円の数量が増えるという「交易条件」の悪化が起こっているということでもある。交易条件の悪化は、日本で働いて稼いだ給料で、どのくらいの輸入品が買えるか、という購買力の低下をも示している。
OECDは、2021年までの平均賃金の34か国の国際比較データを示している。これはドルベースで換算してある。日本は、2021年は34か国中で24位である。順位が下位の方にあることは今に始まったことではないが、1991年から見ると時間とともに順位が落ちていることがわかる。
1991年13位(23か国中)、2000年18位(34か国、以下同)、2010年21位、2015年24位、2021年24位である。この間、2013年に韓国に抜かれた。2018年にはイスラエルに抜かれた。驚くのはOECDに加盟した中東欧諸国に次々に抜かれていることだ。2016年にはスロベニア、2020年にはリトアニアに抜かれている。
中東欧のOECD加盟国の平均賃金を見ると、日本に接近する国々として、ポーランド(2021年の日本との差17.1%)、エストニア(同18.3%)、ラトビア(同22.0%)、チェコ(同22.3%)が挙げられる。これらの国々には追いつかれる可能性がある。
このランキングの前提になる為替レート(購買力平価)は、2021年1ドル102.1円で計算されている。仮に、為替レート(実際のレート)が2023年に130円になると、日本のドル建ての平均賃金は、27%ほど低下する。すると、ポーランドなどの中欧や東欧の国々にも抜かれてしまう。
日本のランキングは、為替次第でもっと低くなる。日本の賃金が円安によって割安になるのを見ると、「安い日本」もここまで来たかと思わせる。