タイプ②がむしゃらな親

もっともふつうに見えがちなタイプ。子どもの人生への投資も並外れて熱心ですらある。猪突猛進で、物事を成し遂げることだけを考える。

感情的な未熟さは一目瞭然だが、このタイプは子どもが成功するよう力を尽くしているかに見えるので、自己中心性を見抜きにくく、たいていの場合、周囲に害をおよぼすようには思えない。

だがその子どもはおそらく、自発性や自制心に問題を抱える。皮肉なことに、熱心さゆえに未熟さがわかりにくい親の子どもは、無気力で、うつ状態におちいることさえある。

じっくり観察すれば、こうした、いかにも生真面目で信頼できそうな人も精神的に未熟なことがわかるだろう。他者を憶測で決めつけ、自分と同じようにしたいはず、同じことに重きを置いているはずと考える。こうした過度な自己中心性が、自分は他者の「ためになっている」という思いこみへとつながる。

また、見た目のうえでは自信を失うことがなく、万事順調で、答えはもう決まっているというふりをしたがる。

子どもの興味や人生への夢を受け入れるより、自分がみたいものを選んで言葉たくみに押しつけ、子どもの人生にやたらと口出しする。

加えて、じゅうぶんなことをしなければ、という不安が彼らを駆り立てる。子どもを含めた他者の感情よりも、自分の目標を達成することが何より大事なのだ。

1日に5回かかってくる母親からの電話、気にくわないとただ怒鳴る父親…いつまでも子どもを苦しめる“幼稚なままの親”の特徴とは_2

自分の子どもが成功を手にできず、恥をかくことを恐れている

このタイプの親はたいてい、感情を奪われた環境で育ってきた。愛情を期待せず、自力でなんとかする術を身につけなければならなかった。

独立独行が多く、それを誇りに思っている。だから自分の子どもが成功を手にできず、恥をかくことを恐れている。

一方で、子どもを無条件で受け入れることができないため、やがて子どもが社会に出て物事を成し遂げていく際に必要な安定した基盤を与えてやれないのだ。

親にそのつもりがあるかはわからないが、子どもはつねに評価されているような気がしている。たとえば、子どもたちに目の前でピアノを弾かせては、間違いを指摘している親だ。子どもは大人の助けを求めたがらなくなることが多い。その結果、大人になっても、いい相談相手とのつながりを拒むようになる。

がむしゃらな親は、何につけ最適なやり方を知っているようにみえるが、ときにとんでもない行動に出ることがある。

ある母親は、娘はきちんとできないだろうからと、成人した娘の家賃を払うと言い張った。成人した息子が頼んでもいないのに中古車を購入し、いらないと言われて傷ついた母親もいる。太ってしまった若者が、毎日父親の前で体重を量らされた例もあった。

がむしゃらな親は、不安定な愛着行動を示す乳児の母親――敏感性の低い母親とどこか似ている。そのときどきの子どもの経験と向き合わず、子どもの気持ちに合わせることができない。かわりに、自分が考える〝型〞に子どもを押しこめる。

実例:怖くて親にさからえない

弁護士のKさんは、横暴な父親から、成功するようにと絶えずプレッシャーをかけられてきた。

心理セラピストであるわたしとのセッションが始まったばかりのころ、彼女は子ども時代をこんなふうに語った。

「父はわたしを意のままにしていました。自分とちがう考えの人間はだれであれ認めないのです。わたしはまちがった選択をするのが怖くて、その不安だけでいろいろなことを決めていましたね。完全に父に支配されていたと思います。大学時代も門限は11時で、恥ずかしくてたまらなかったけど、それでも父にさからおうなんて夢にも思わなかったです」

父親は娘の思考まで意のままにしようとした。娘の考えが気にくわないと、即座に「バカなことを考えるんじゃない!」と怒鳴った。