7年で20%以上の出生数の激減という事実

今後の見通しはさらに厳しい。日本総合研究所は2022年11月、2022年の出生数(日本人)は、前年比5.1%減の77万人前後となる見通しを発表した。16年以降、出生数は年率3.5%減のペースできたが、22年はそれを上回る減少率となる。

同研究所の藤波匠上席主任研究員は「2015年の出生数は100万人を超えていた中、わずか7年で20%以上減少してしまう」と危機感をあらわにする。

7年で20%以上の出生数の激減という事実は決して軽視できるものではない。堺屋太一氏の予測を超えて人口減少の大波に日本はすでに飲み込まれているのである。

2023年、岸田文雄政権は異次元の少子化対策を行うと発表したが、これまでの各政権も少子化対策を重要政策としてとらえ、多様な事業が行われてきた。しかし、一時的な効果はあっても、結局は人口を増やすどころか維持すらもできなかった。2020年代になり、人口激減の段階に入った以上、今後の少子化対策で多少の改善が見られたとしても、人口増加へ転じることは決してないと言い切ってよいだろう。

7年で出生数20%以上激減、高齢者割合G7断トツ1位…誰が日本をこんな国にした「30年後に残るのは本州だけ」_2

高齢者雇用の割合は29.1%とダントツでG7トップ

振り返れば日本の人口は2008年を境に減少に転じている。生産年齢人口(15〜64歳)で見れば、1995年を境に減少に転じた。生産年齢人口は1995年時点の8716万人から1200万人以上減少し、2021年には7450万人となった。

日本はこの生産年齢人口の大激減を女性活躍の推進と高齢者雇用促進、IT技術の活用でしのいできた。女性の就業率は2005年には58.1%だったが、2021年には71.3%に達し、就業者数は2021年には3002万人となった。また高齢者の雇用も増加が続いた。2020年の高齢者の就業者数は、2004年以降、17年連続で前年に比べ増加し、906万人と過去最多となった。

では今後も、女性と高齢者の就労拡大で乗り切れるのだろうか?

女性の就労率はすでにOECDの中でトップクラスに近づいている。2020年、OECD諸国の中で日本は38カ国中13位ですでにオーストラリア、カナダ、米国よりも高いレベルとなっている。

一方、高齢者雇用の割合は29.1%とダントツでG7(主要7カ国)でのトップ。2位のイタリアの23.6%を大きく引き離している。しかし、団塊の世代が後期高齢者になる2025年以降、介護人材の需要が急速に高まり、労働力不足は一層深刻さを増していく。労働者として活躍していた高齢者が、次第に介護を必要とする時代へと変わっている。残された伸びしろには限りがあるのは明らかだ。