人間ドックは日本でどのくらい浸透しているのか
では、実際に皆さんは人間ドックをどのくらい受けているのでしょうか?あなたの家族や友人、会社の人と人間ドックの話をすることはあるでしょうか?
日本のデータで確認してみると、人間ドック/健康診断の受診率は厚生労働省のデータを参照すると、徐々に上昇していて、直近(2019年)のデータでは69・6%まで上がっています。
この数字を多いとみるか少ないとみるかは人それぞれでしょうが、依然として3割の人は受診をしていない状況です。
受診していない方に理由を聞いてみると、「いつでも医療にかかれるから心配していない」「時間がない」「面倒くさい」こういった理由が多いようです。
日本ではいつでも必要な時に医療にかかれる。これはまさにその通りで、国民皆保険制度に守られている日本では、他の国に比べて圧倒的に、受診したいと思った時に、健康保険の適用のもと安価に病院を受診することができます。
しかし、なかなかこの有り難みを私たちが感じることができる機会は少ないです。
例えば、新型コロナウイルス感染の拡大期には、感染者の急激な増加によって発熱外来を受診できない「受診難民」が増加しましたが、これは海外では珍しい風景ではありません。救急現場でさえ、10時間以上待つことがそこまで珍しくない地域もあります。
コロナの感染拡大は、ある意味では日本の医療体制の有り難みを再認識する出来事になったのではないでしょうか。
また時間がない、面倒くさいという人もいますが、これは本質的な話をすれば「時間をとる価値を健康診断に感じていない」ということなのでしょう。
人間は必要だったり、求めていたりする場合は優先的に時間を捻出するものです。しかしこの考え方は予防医学を知ってほしい、実践してほしい私からすると非常に残念です。
冷静に考えれば、「いつでも医療にかかれる」ことと「人間ドックなど、病気の予防への取り組みをしない」ということには何の因果関係もないはずです。全く別の話でしょう。
日本ではいつでも医療にかかれるのは事実ですが、「病気」はいつかかっても治療ができる状態なわけではありませんからね。
早期発見していれば手術ができたがんでも、転移し、進行してしまえばもう手術は手遅れで、放射線や抗がん剤を使用する治療しかできない状況や、生活習慣病を放置して、傷つけられズタボロになった血管はもう元には戻りません。
血管をつるつるにする方法など存在しないのです。
病院に行ったからすべてが元通りになることばかりでは決してないのです。
この事実は頭に入れておいてください。
もし人間ドック/健康診断を受けていない3割の方がこの記事を読んでいるとしたら、人間ドックや健康診断は1年に1回、なんとかして時間を割いてでも行うべきイベントという認識を持ってもらえると思います。