「若づくり」はできるだけしたほうがいい

私がこれまでお会いした90代の中で、特に「すごい!」と思った方。

それは、世界最高齢でエベレスト登頂を達成した登山家で知られる三浦雄一郎さんの主治医であり、男性医学の父と呼ばれる故・熊本悦明先生です。この方は92歳で亡くなるまで、ずっと若々しいままでした。

その若さの秘訣のひとつが、男性ホルモン注射です。男性ホルモンを打つと、意欲が高まり、心身共に若々しさが保たれます。

おそらく熊本先生は、ご自身が亡くなるまで男性ホルモンを定期的に打っていたと思います。そして、三浦雄一郎さんも熊本先生のホルモン治療を受けていたことで知られています。

ただ、男性ホルモン注射の効果だけでなく、「ホルモンを打ってでも若返りたい」という意欲が、若さに寄与している部分も大きいのでしょう。つまり「若々しくいたい」という気持ちを強く持つことこそが、若々しさを維持する最大の秘訣なのです。

女性であっても男性ホルモンを打つのはひとつの方法ですが、もし抵抗感がある方は、そのほかの手段で心いくまで「若づくり」を楽しんでほしいと思います。髪の毛を染める。華やかな服を着る。メイクをする。肌のケアをする。

ときには、ボトックスやヒアルロン酸を入れるなどの美容医療に頼ってもいいと思います。「自分の顔に注射するなんて」と美容医療に抵抗感を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、鏡を見たときに、「あぁ、老けてしまったな」としょんぼりするよりは、自分自身の若返ったキレイな姿を見て、ワクワクできるほうが若さにつながると私は思います。

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毎日の変化が老化を防ぐ第一歩

続いて、日常生活に取り入れていただきたいのが、「毎日に変化を生むこと」です。

たしかに、日々変わらないルーティンを続けると、その能力は残りやすくなります。ですが、一方で刺激がなくなって、意欲減退につながります。

毎日散歩する習慣を続ければ、歩く能力は残ります。ただ、同じ道、同じ時間帯ばかり歩いていると、脳に新しい刺激がいきわたらず、「楽しい」「ワクワクする」という気持ちが低下してしまうのです。

楽しくないことを続けてもモチベーションは上がらないし、次第にルーティンが苦痛になってしまうこともあります。

脳に刺激を伝え、いつまでも若々しくいるためには、いままでの習慣に加えて、「何か新しい変化を加える」ことが大切です。

日々の生活にちょっとした変化が生まれると、やる気を司る脳の部位・前頭葉が刺激されて、意欲が湧きます。

たとえば、散歩をするなら、歩くルートを変えてみたり、時間帯を変えてみたりするのもいいでしょう。買い物に行くのなら、いつも同じ店ばかりでなく、行く店をローテーションで変えてみてもいいと思います。

料理するなら、普段は作ったことがない料理に挑戦してみたり、普段は使わない食材を使っていつもの料理をしてみたり。こうして毎日に変化を加えることで、脳に刺激が伝わります。また、いろいろと変化が生まれることで、「次はこういうものを試してみよう」と意欲も湧いてくるはずです。