軽視される「ケア」…人がこんなに大事にされていないことに危機感
何より、教育という国家の基盤を作る領域において、人がこんなに大事にされていないことに危機感を覚える。教員に限らず、保育士や介護士、看護師など、人手不足になっている領域に共通しているのが、「ケア」の仕事という点である。対価が支払われない家事や子育て、介護などの「アンペイドワーク」を含め、ケアを受けない者はいない。にもかかわらず、ケア活動もケア活動を担う人々も、あまりに軽視されすぎている。
仕事の機械化が進み省人化される一方、人間にしかできない仕事である「ケア」の社会的位置付けを見直すべき時期に来ていると感じる。それが結果的に、教員不足の解消や少子化対策の強化にもつながるのではないだろうか。
最後に、「教員志望をやめた」学生の声を紹介したい。「教員を目指すためには趣味や学業以外の学習の時間、また研究の時間を4年間も犠牲にしなければならない。その対価として得られるのは安い賃金と重い責任。国家において非常に重要な教育という領域においてやりがい搾取と言わざるを得ない実情。(大学生・4年)」
「労働環境、待遇の改善が見通せず、自分自身を殺すことに繋がりかねない。(大学生・4年)」
この状況を放置していては、「先生がいなくなる」日はそう遠くない。
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