iPhoneを近づけて連絡先を交換する「NameDrop」

Appleは2023年5月、iOS 17のアップデートよりも先に、iOS 16から提供予定のアクセシビリティに関わる複数の新機能を発表している。その中に「Personal Voice」という、AIによる機械学習を活用するユニークな機能がある。

Personal Voiceは、ユーザーがiPhoneに向かって15分間自分の声を録音すると、まるで自分が話しているような声を自動で生成してくれる機能だ。

先述のライブ留守番電話然り、Open AIの「ChatGPT」やGoogleの「Bard」で話題のジェネレーティブAI(生成AI)に関わる機能が、iPhoneにもデバイス上の処理だけで安全・安心かつ迅速に使える形で、続々と組み込まれつつある。

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ユーザーの声を録音して「そっくりな声」を自動生成するiOSのアクセシビリティの新機能「Personal Voice」

ジェネレーティブAIに対してAppleは、「ユーザーに最高のメリットをもたらすもの」でない限り、安全性やプライバシーの面でリスクを抱えたまま世に送り出すことをよしとしていない。

たとえば、クラウドで膨大な計算処理を必要とする機能については、ユーザーのプライバシーを優先する理由から、これまでむやみに自社プロダクトに組み込んでこなかった。

その代わりに、iPhoneなどのデバイスに組み込んで、ユーザーが迷うことなく安心して使えるレベルにまで練り上げたものは、OSの新機能として積極的に組み込んでいる。たとえば、機械学習言語モデル「Transformer」を用いたテキストタイピングのサポート機能(自動修正と音声入力)などが、それにあたる。

これらの機能が、iOS 17でさらに賢くなるようだ。予測変換や文法・スペルミスの修正などの機能が、よりいっそう精度高く実用的に使えるようになる。最初は英語から対応が始まるが、日本語への拡大も期待できる。

また、AirDropのテクノロジーをベースとする「NameDrop」という新機能も追加される。

これは、iOS 17をインストールしたiPhone同士、またはwatchOS 10をインストールしたApple Watchを近づけるだけで、デバイスに保存している連絡先情報やコンテンツを瞬時にシェアできる機能だ。従来のAirDropでも連絡先情報をワイヤレスで送信できたが、それがさらに簡単に実現できるようになる。

なおNameDropでは、自分のプライベートな電話番号やメールアドレスなどを相手に渡したくない場合、相手によって渡す情報を選び分けることも可能だ。

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iPhone同士、またはiPhoneとApple Watchを近づけて連絡先をワイヤレスで送信できる「NameDrop」