総理番はつらいよ…
蚊に刺されながら首相別荘前で一日中待機も
ときには首相に秘密の行動をとられても、可能な限り首相の動向に目を光らせる総理番。そもそも、どんな人がなっているのか。
「一日中、首相官邸やレストランといった首相の行先について行くなど、体力的にハードな仕事であること。
さらに、日々首相の面会者をチェックすることで、政治スケジュールや政局など政治記者としての基本も学べることから、各社、20~30代の若手記者1人~数人を総理番にしているケースが多いです」(全国紙の総理番経験者)
そんな若手の総理番には、さまざまな仕事がある。
「官邸のエントランスで、1日何百人と来る訪問者に『首相に面会ですか』と尋ね、首相との面会者には、何時何分から何時何分まで首相と会ったか、同席者には誰がいたかを尋ねます。
首相と面会した大臣や政治家、官僚を知ることで『このトピックについて詰めの協議をしているのでは』『この政治家とは距離が近いんだな』など、首相の頭の中を知るヒントになるのです」(同)
総理番がチェックする首相の行動は、官邸の中だけでなく、プライベートにも及ぶ。
「たとえば、安倍首相(当時)は夏休みに河口湖近くの別荘で過ごしていたので、緑豊かな別荘の出入り口にキャンプ用の椅子を置いて、蚊に刺されながら朝から晩まで、首相に会いに来る人を確認していました。
時の首相が美容院やジムに行くときも、近くで待機。ずっとそんな状況ですから、社を超えて総理番同士が仲良くなります。
会社が違う総理番同士で結婚するケースも珍しくありません。
すると周囲の記者が余興として新婚のふたりを取り上げた“結婚新聞”をつくることもよくあります。もちろん出回ることはなく、身内で楽しむだけのものですが」(同)
衆院解散という伝家の宝刀を抜くか抜かないかは、首相の決断次第。
総理番は今日も、首相の「ニヤリ」も含めて、一挙手一投足に目をこらしている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班