北陸発の回転寿司チェーンは高級志向

北海道発のローカルチェーンが隆盛を極めているなか、北陸の回転寿司チェーンの存在も見逃せない。

たとえば石川県金沢市を中心に展開している「金沢まいもん寿司」、「北陸金沢まわる寿し もりもり寿し」の2チェーンは代表的だ。まいもん寿司は渋谷、上野、三軒茶屋に出店。もりもり寿司は東久留米、調布に店舗を構えている。いずれもカニ、白えび、のどぐろなどのネタが人気だという。

「北陸発祥のローカルチェーンは、高くてもよいネタを出すというスタンスでして、一般的な回転寿司チェーンに比べると値段はお高め。1皿1000円を超えるネタもあり、ほかのチェーン店に比べると、同じぐらいの量を食べて会計が倍ぐらい違うなんてこともありえます。しかしその分、北陸ならではの旬なネタが味わえるので、普通の回転寿司や北海道発のチェーン店にもない魅力がたっぷりとあります。

都内では、まいもん寿司が最も勢いづいていると言えますね。東京都ではなくお隣の神奈川県になりますが、横浜にある『金沢まいもん寿司 たまプラーザ店』は、郊外にあるという利点から車で来るお客も多く、人気の店舗となっています。総じて北陸チェーンは北海道チェーンと差別化させる形で、リッチさ、華やかさで勝負している傾向にあると言えるでしょう」

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北海道発と北陸発のローカルチェーン、どちらのシェアが高いのか気になるところだが、米川氏いわく「現状は北海道の優勢」だという。

「やはりトリトンの影響は絶大でして、北海道のネタを安く楽しめるという特徴は、多くのお客の舌を唸らせました。現状、“安くて旨い”を都内で一番体現しているローカルチェーンがトリトンでして、ハードルが段違いに低く、来店動機になりやすい。

“北海道”という文字だけで国内の客はもちろん、外国人観光客のインバウンド需要が圧倒的に高いので、そもそものターゲット規模自体がまるで異なってきます。

対して、北陸のほうは傾向として高級志向となっていますので、ファミリー層が行くとなると予算がどうしても潤沢に必要。たとえばですが、家族4人で行くならば、トリトンが4人でだいたい1万円~1万5000円ぐらいなのに対し、まいもん寿司だと2万円以上になることも珍しくはありません。

そもそもお店側としても、客単価を高く設定しており、完全に客層を限定して営業しているので、真正面から北海道チェーンとシェアを奪い合う方針ではないのでしょう。もちろん北陸のファンも多いのですが、都内だと知名度的にもシェア的にも北海道優勢の状況ですね」