チグハグな補強…選手層の薄さと投手力の弱さ

もう1つ、投打のバランスが合わない要因として、補強の失敗も挙げられます。2000年以降、エンゼルスはFAで様々な大物選手を獲得してきました。

例えば歴代4位の通算ホームラン703本を誇るアルバート・プホルス。最近では2019年オフにワシントン・ナショナルズからアンソニー・レンドンと長期契約を結びました。ただプホルスは全盛期ほどの活躍ができず、レンドンは2021年から2年連続で故障に泣き、ふがいないシーズンを送り、いずれも期待された結果を残せてはいません。

獲得した選手はいずれも野手で、アストロズからヤンキースに移籍したゲリット・コールのような大物FA投手の獲得はならず、最終的には選手層の薄さと投手力の弱さが毎年のように勝てない要因として指摘されています。

FA選手の獲得や、大型トレードの決定権を持っているのが、エンゼルスのオーナー、アート・モレノ氏だと言われています。

2020年シーズンのキャンプ直前、ドジャースの前田健太がツインズにトレードされました。当時、レッドソックスに在籍していたムーキー・ベッツの獲得を狙っていたドジャースとの三角トレードが成立。この大型トレードには当初、エンゼルスも加わっていたと報道されました。エンゼルスは、ドジャースから左の長距離砲ジョク・ピーダーソンと、先発右腕ロス・ストリップリングを獲得すると報じられていましたが、直前で白紙に。

これは、オーナーのモレノ氏の意向だったとされています。明確な理由は明かされていませんが、モレノ氏が交渉にしびれを切らして、撤退を決めたと複数の米メディアが伝えています。

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ヤンキースなど複数の金満球団がエンゼルスに大谷トレードを打診

2022年7月下旬から8月初旬にかけて、大谷さんのトレードも大きな話題となりました。

ヤンキースなど複数の金満球団がエンゼルスに問い合わせをしたそうですが、結局、球団の方針として大谷さんをトレード市場には出しませんでした。やはり、これもオーナーの意向と報じられています。つまり、大型補強や長期契約はオーナーの一存で、方針が決まる訳です。

2022年8月下旬に球団の売却を発表し、翌年1月に一転してオーナー権の継続を決めたモレノ氏。方向性が不透明ですが、今後チームの補強をどのようにしてうまく進めていくのかは、オーナーの決断にもかかっているわけです。