トイレを無言で使って帰る“トイレ泥棒”も
夜9時をすぎるころには新宿ゴールデン街を歩く外国人の数もピークに達する。
そんなお祭りのような賑わいを見せるゴールデン街の各所には「No Smoking(路上喫煙禁止)」や「No Drinking(路上飲酒禁止)」といった英語看板がみられるのだが、この時間にもなると路上でたばこを吸ったり、缶チューハイを飲む外国人の姿も目に入ってくる。
店内では仲間内でバカ騒ぎする外国人が多い一方、店内だけスマホで撮影して、立ち去ってしまう人もいた。
新宿ゴールデン街にバーを構える40代の男性店主はこう話す。
「外国人観光客はマナーに疎いところがありますよね。
コロナ前は歩きタバコは当たり前で、缶チューハイ片手に路上で宴会する人もいた。最近では英語表記の注意書きが増えたから、そこまで非常識な人は少なくなったけど、5、6人のグループで入店したのに何も飲まない人がいたり、『1杯目はもう払ったよ!』とか、頑なに飲み代をケチろうとする人もいる。
トイレだけ使って無言で帰っていく“トイレ泥棒”にはあ然としてしまいます(苦笑)」
別の30代男性店主も続ける。
「一番困るのが店内でのナンパです。外国では当たり前なのかもしれないけど、他の女性客の手をギュッと握ったり、マジで口説きにかかる人もけっこう多いので、度が過ぎている場合には注意しています」
50代の常連男性客は「昔のゴールデン街とは変わってしまった」と肩を落とした。
「本来のゴールデン街のよさは“横のつながり”。バーで知り合ったおじさんが実は有名な政治家や売れっ子作家だったとか、普通に生きていたら会うことのない人と知り合えたりするんです。
別に特別な人じゃなくても、その日初めて会った人と肩を組んで2軒目に向かえるようなゴールデン街の魅力に、すっかり取りつかれて、私もこの年まで通ってます。
でも今は外国人が増えすぎて……。もちろん彼らもフレンドリーなんだけど、言葉が通じないことも多いし、深い付き合いにはなりませんよね」